コンテンツマーケティングを外部パートナーに発注するときに見極めるためのポイントをまとめました。この記事を書いている著者の会社でもコンテンツマーケティングの支援サービスを提供していますが、なるべく客観的に書きました。そのため、著者の会社でもできることとできないことが両方含まれています。
その会社のサイトでコンテンツマーケティングが行われているか
コンテンツマーケティングを提案する会社がコンテンツマーケティングを実施していないことがあります。必ずしも駄目なわけではないですが、自社でコンテンツマーケティングを実施しているところのほうがノウハウを持っていることが多いと思われます。日々検索エンジンの傾向が変わったり、コンテンツに連動させる広告の仕組みが変わったりするため、実験できる場としてのオウンドメディアを持っていてきちんと運用している会社が強いです。
目的や目標のすり合わせができるか
制作をゴールにするのではなく、コンテンツマーケティングを実施する目的や目標について打ち合わせのときに聞いてみるとよいです。正確なシミュレーションはできないものの、いつまでにどういったKGI、KPIを達成しないといけないかによって、施策や狙うべきターゲットは変わります。それができる発注先がおすすめです。
手段が目的化しているときに止めてもらえるようなパートナーが望ましいです。
実績、事例や方法が詳しく説明されているか
以下のような端的な説明の実績だけが掲載されているのは要注意です。
●●メディアで月間100万PVを突破
●●というキーワードで1位
なぜなら、その会社が何を担当したのか、いつの実績なのかなどがわからないと、あまりそれらのデータに意味がないためです。変化の激しい業界ですから、過去の成果が出たときの方法がわからなければ、現時点でも再現性のある方法なのかがわかりません。
どのサイトでどのようなコンテンツを作って達成したのかが詳細に説明されている、もしくはお客様のインタビューなどで内容がわかるものが理想です。
コンテンツ制作プロセスと体制を詳細に説明してもらえるか
どんな流れでコンテンツ制作がされていくのかを説明してもらうことをおすすめします。何人が関与するのか、企画はどれくらい詳細まで制作するのか、どんな人が書くのか、校正校閲の体制はどうなっているか、アイキャッチ画像や図表のデザイン、CMSへの公開などはしてもらえるのかなど、作業プロセスをなるべく詳しく説明してもらいましょう。
体制も事前に書くにしてください。
参考: 編集者/ライター/監修者などオウンドメディア運用の役割分担
同じコンテンツ制作といっても、進め方は発注先によって大きく異なります。
- 大枠のコンセプトだけを決めてライターさんに完全におまかせして書いてもらう
- 毎週編集会議を開催して、企画や記事の構成案など書く内容の詳細を指定してから書く
極端な例として書きましたが、この1と2ではアウトプットも費用も大きく変わるのは明白です。
ここで注意していただきたいのは、この2つの例のどちらのほうが良い悪いという話ではないということです。あなたの会社に適した方法で進めてくれる会社を選びましょう。
参考: オウンドメディア運営代行を使う目的を決めていますか?
以下特に重要なプロセスについて書きます。
SEOのためのキーワード調査や企画はどう進むか
コンテンツマーケティングではコンテンツを制作する前に、何をどう伝えるかの企画をつくる必要があります。企画のためによく実施するのが以下のようなものです。
- 顧客調査(ユーザーインタビューやデータ調査など)
- ペルソナの作成
- カスタマージャーニーマップの作成
- SEOのためのキーワード調査
- SNSなどでユーザーに人気のコンテンツの調査
- Yahoo!知恵袋や教えてgooなどの質問系サイトでのユーザー投稿の調査
- キーワードの整理分類
- トピックスの整理
- 記事の構成案作成
何を作るか決めるところまでで成果は大きく変わってきます。制作するコンテンツの選択に関与してもらえるのか、もし関与してもらえるなら、どういった流れで制作するコンテンツを決めるのかを確認してください。
ライターはどんな人たちなのか開示してもらえるか
ライターはどのような経験やスキルがある人たちなのか開示してもらいましょう。本数が少ない場合は誰が書くのかまで、本数が多い場合はどういう人たちがライターなのかを確認します。どういう基準や試験などを経た人たちがライターになっているのかを聞いてください。あと、過去に書いた記事の実績URLも開示してもらいましょう。
なお、サイトエンジンでは長期契約の案件以外では、発注いただく前に事前にライター個人名の開示はしていません。なぜなら、スケジュールや本数が数ヶ月先の分も含めて確定しない限り、事前にライターの作業時間を確保することができないためです。
校正校閲などの品質管理はどのようにされているか
ライターが書いた記事をどのようにチェック、修正してから納品されてくるのかを確認してください。ライター以外のチェックが入らず、誤字脱字や文法の誤りすら直っていないような原稿が納品されてきたら、修正するのに時間がかかりすぎて外注するメリットが薄れてしまいます。
事実確認や参照先が大元の情報源になっているかなどの確認も大切です。参照元が記事とセットで管理されていれば、校正校閲担当が確認できますが、もしそのような仕組みがなければチェックのしようがありません。
参考: Web記事の校正とは?文章校正を仕事にしている校正者の作業内容
監修は依頼できるか
専門的なコンテンツの場合、品質を高めたり、事実確認をしたりするためにライターとは別に監修者を入れることがあります。特に医療や金融などのコンテンツは法律による表現の制限やコンプライアンス遵守などの基準がありますから、有資格者などの専門家に入ってもらうことがあります。
もし必要になる場合、監修者の手配も依頼できるかを確認しましょう。内容の監修だけではなく、名前や顔写真やプロフィールをコンテンツに併記することで、信頼性を高める効果もあります。
参考: 監修の意味や使い方、参考文献の監修者、本の監修、料理の監修とは?
画像や図表など素材の用意やデザインは含まれているか
コンテンツはテキストだけではなく、図表、イラスト、動画など様々な伝え方があります。テキストで記事を書いてもらうときに、画像をセットで制作してもらえるかを確認しましょう。
特に1200✕630ピクセルのOGP用の画像の作成は必須です。OGP用の画像は、設定しておくとTwitterやFacebookなどでURLを投稿したときにその画像が表示されるようになるというもので、あるかないかでSNSでのクリック率に大きな差がでます。
CMSへのアップは任せられるか
WordPressなどのCMSを使っていることがほとんどかと思います。完成済みのコンテンツのCMSへの登録と公開の作業は単純作業であることが多いので、なるべく任せたほうがよいでしょう。
見出しタグ(h2やh3)、tableタグやリストタグなどの簡易的なコーディングもしてもらえるかを確認して、費用も聞いておきましょう。
集客するところまでやってもらえるか
コンテンツマーケティングでは、コンテンツを制作して公開して終わりではなく、集客まで実施しなくてはいけません。代表的な方法としてSEOとSNSと広告(Google、Facebook、Twitter、Instagramなど)があります。これらの施策をどこまでやってくれるのかを最初に確認しておきましょう。
特に始めたばかりのドメインパワーの弱いサイトの場合、ただコンテンツを作ってSEOで集客できるようになるまで待つ方法だと長い期間が必要になってしまいます。どれくらい競争が激しい分野を対象にするかによりますが、1年たっても集客できていないということも起こりえます。
そのため、制作と一緒に閲覧者数を増やす施策が必要です。これをデリバリー施策と呼ぶことがあります。制作とデリバリーの比率はあなたの会社やサービスの知名度やドメインパワーがよいほど制作を高めます。まったく知名度やドメインパワーがなければ、予算の半分以上をデリバリーに回すことも検討します。誰にも見てもらえなければサイトへリンクも貼られません。つまりドメインパワーが着くことはなく、いつまでもSEOで集客できない状態が続いてしまうことになります。
制作する会社、広告を運用する会社、SNSの運用をする会社など分けて発注することもあります。1社にまとめて発注するよりもそれぞれ高度なノウハウを持っている可能性があります。ただ、複数社に分けて発注するとやり取りが煩雑になるデメリットもあります。
コンバージョンを増やすための改善に取り組めるか
ページビューやセッションなどの流入数は順調に増えているのに、コンバージョンはそれほど増えていかないということがあります。これはコンバージョンへの導線が正しく設定されていかなかったり、コンバージョンとして設定しているものがユーザーの興味をひかないものになっていたりすることが原因です。
- サイトのデザインやCTAの見直しをする
- ホワイトペーパーやウェビナーなどの追加のコンバージョンを用意する
- コンバージョンの伝え方の見直しをする
などができるパートナーを選んで、流入だけではなくコンバージョンも増やしていきましょう。
アクセス解析データをもとにした改善は業務範囲に含まれているか
Googleアナリティクスやサーチコンソールのデータを見て、改善施策を提案、実行するような業務が対象範囲に含まれているかを確認してください。
過去に制作したコンテンツを少しずつ改善していって、流入を増やしていくのはおすすめの方法です。最初の50~100記事くらいまでは新規記事だけに集中して取り組むのでよいかと思いますが、それ以降は制作済みコンテンツの見直しも業務に含めると流入が増えていきやすいです。
アクセス解析のレポートと改善施策の実行など、新規コンテンツの制作以外も手伝ってもらえるのかを聞いて、予算の割り振りの仕方を検討してください。
ノウハウを開示してもらえるか
将来的にコンテンツマーケティングをインハウス化するつもりがある場合、ノウハウを開示してもらえるかはとても重要な外注先の選定条件となります。
- フォーマットやテンプレート
- 分析方法
- 利用しているツール
- レギュレーション、ルール
などを共有してもらえて、一緒にノウハウを成長させていける会社を選びましょう。
参考: オウンドメディア運用代行会社の選び方 外注先との上手な付き合い方は?