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カスタマージャーニーマップの目的と作り方[動画解説あり]

2023年9月13日

読み手のイメージを具体化するために「ペルソナ」を設定している方は多いかと思います。顧客のイメージをさらに具体化するためにおすすめなのが「カスタマージャーニーマップ」です。

サイトエンジンでもオウンドメディアを立ち上げる前や、新規のコンテンツマーケティングのプロジェクトに関与するときに、よくカスタマージャーニーマップを作っています。

以下の動画でもカスタマージャーニーマップの作り方や制作のメリット、注意点などをまとめていますので、あわせて参考にしてください。

サイトエンジン株式会社では、コンテンツ制作と合わせてカスタマージャーニーマップの作成も承っております。「いままで意識していなかった顧客接点を発見したい」「ユーザーの状態にあわせて適切な情報を届けたい」という方はこちらのサービスもご覧ください。
カスタマージャーニーマップによるコンテンツ制作の優先順位作成

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カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップとは、ユーザーの考え方や感情、行動、興味関心の度合いなどを時間経過とともにまとめたものです。

カスタマージャーニーマップの要素には、自社サイトのコンテンツやb自社商品などに関連していないものも含まれます。例えば、自社サイトにアクセスする前にはどのような情報を見ていたのか、あるいは自社サイトから離脱したあとに、どのようなサイトのどのような情報に触れるのかなども書き出します。ユーザーとの接点を具体的にイメージすることが重要です。

制作する目的

カスタマージャーニーマップを作成する目的は、売り手視点だけに立って商品を販売しようとすることを防ぐことです。

商品に興味を持っていたとしても、各ユーザーごとに必要としている情報は異なるため、売り手からの最適なアプローチ方法も異なってきます。顧客に寄り添ったマーケティングが展開するためには、常に顧客の視点に立ったうえで適切な施策を打ち出す必要があります。カスタマージャーニーマップとは、サービスを提供する側にとっては顧客に対する行動や方向性を決定付ける重要な指標なのです。

カスタマージャーニーマップを作成する際、目的意識なくただテンプレートに沿って作るだけでは、効果的なものはできません。最初に用途をはっきりと決めておきましょう。例えば、

  • ペルソナと組み合わせてユーザー像の解像度を上げて、チームで共通認識として持っておくため
  • ユーザー視点でのコンテンツ企画や導線設計をするため
  • ユーザー段階ごとのコンテンツの抜け漏れを無くすため
  • コンテンツや機能を作成する順番、優先順位を決めるため

といったことです。ユーザーの考えや行動にあわせて、必要とされる情報が変化していくことを整理できるのがカスタマージャーニーマップのメリットです。顧客の欲している情報を理解することなしに、思いつきでコンテンツを作っても読まれることはありません。

例えば「いますぐにでも買いたい」と思っている人と「ただ言葉の意味を調べている人」とでは、見たい情報は違います。ユーザーの考えていることにあわせてピッタリのコンテンツを提供できれば、ユーザー満足度は向上し、結果としてコンバージョン=売上が増えます。

下記のページでペルソナ設定について解説していますので、あわせてご覧ください。
ペルソナとは?作り方・設定方法を解説【ブログのライティングむけ】

カスタマージャーニーマップ作成のメリット

顧客理解が深まる

顧客がどのような経路で自社の製品・サービスを購入するかを正確にイメージできているマーケティング担当者がどれくらいいるでしょうか? アンケート調査などで顧客の行動を理解した気になっていないでしょうか?

カスタマージャーニーマップでは、ペルソナの行動や思考、感情が時系列で見える化され、顧客体験全体がストーリーとして表現されるため、マーケターは顧客の行動を深く理解できるようになります。

ペルソナの認識を社内共有できる

属性だけではなく、行動や考え方なども含めてペルソナを認識できるので、マーケティング担当者だけでなく、チーム全体で考え方を共有することができます。これにより意思決定にスピード感が生まれます。

さらに、ペルソナだけだと、コンテンツを作る際にどうしても担当者ごとの主観が入ってしまい、内容にズレが生じてしまうという問題が起こり得ます。カスタマージャーニーマップがあれば、「どの段階の顧客の、どの課題を解決する」という、コンテンツごとの目的がより明確になります。

複雑化した購買活動に対応できる

ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の進化にともない、チャネルやタッチポイント(顧客と企業との接点)は複雑化しています。昔はテレビと新聞、チラシなどがおもなタッチポイントでしたが、いまでは、Googleなどの検索エンジンやInstagramをはじめとしたSNSなど、インターネット上のタッチポイントが増え続けています。

現代は、ユーザー一人ひとりに適した顧客体験の提供が求められています。そのためには顧客の購買行動・心理をより的確に把握することが必要です。カスタマージャーニーマップを作成すれば、リアルだけでなく、インターネット上の領域での購買行動も可視化され、理想の顧客体験提供に向けた改善を行いやすくなります。

カスタマージャーニーマップの作り方

ユーザーがどういう情報収集の過程を経て、購入に至るのかを可視化します。まず作り始める前に、下調べが必要です。調査によって材料を集めることで、はじめて現実感を保ったカスタマージャーニーマップを作れます。

事前調査

顧客の行動をカスタマージャーニーマップに入れるためには、現状を正確に把握する必要があります。調査なしにいきなり取り掛かってしまうと、現実には存在しないようなユーザーに向けたものになってしまいます。

顧客からの要望や質問の整理

過去に顧客からどのような要望や質問があったのかを営業やカスタマーサクセスなどの担当者と協力して整理します。SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)やCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理システム)などにやり取りのデータが記録されている場合、そのデータを抽出して、類似のやり取りがないかをチェックします。同じ要望や質問が何度もされているなら、それは多くのユーザーが共通して持っているニーズである可能性が高いと判断できます。

顧客のWebサイト上の行動履歴、購買履歴などを確認

顧客が自社サイトのページをどのような順番で見たのか、どのような商品・サービスを購入したのかといったデータを確認することも、顧客を理解するうえで重要です。アクセス解析やMA(Marketing Automation:マーケティング活動の自動化)のデータなどを活用して、顧客の行動を可視化します。

例えば、商品・サービスを購入する前に、導入事例を見ているユーザーが多いことがわかったと仮定します。カスタマージャーニーマップに、この行動が盛り込まれることにより、サイトまたはコンテンツを改善する際に、既存ページに導入事例を追加したり、導入事例ページへの導線を強化したりなど、購入につながる成功例を横展開できるようになります。

顧客へのインタビュー

机上の調査分析だけでカスタマージャーニーマップを作成してしまうと、売り手にとって都合のよい行動プロセスだけが描き出されることがあります。顧客を知るための最善の方法のひとつは、顧客から直接話を聞くことです。実際に購入してくれたユーザーに、なぜ必要性を感じたのか、どうやって見つけたのか、何が決め手となって購入したのか、購入したあとの感想はどうだったのかといったことを聞きます。

インタビューの方法や内容は以下もあわせて参考にしてください。
BtoBコンテンツマーケティングでのペルソナ作成のためのヒアリング項目まとめ

検索キーワードの種類・月間検索回数や競合サイトなど一般のデータを分析

新規事業のために社内にデータが存在していなかったり、インタビューをする余裕がなかったりする場合には、誰もが閲覧できる、公開されているデータを参照する方法があります。

キーワードの月間検索回数はGoogleキーワードプランナーで閲覧できます。関連キーワードと月間検索回数をセットで出してくれるUbersuggestのようなツールもあります。

競合サイトがどのようなコンテンツを掲載して、どのような導線設計をしているのかを見るのも参考になります。5社から10社程度のサイトを閲覧し、共通したコンテンツや機能を表などで整理してみると、欠かせない要素がわかります。

制作方法と流れ

カスタマージャーニーマップは以下のようなイメージになります。流れを説明します。

段階(フェーズ)分類

まず、顧客の行動を洗い出して時系列で並べ、それらを整理して「段階」を作ります。例えば、オウンドメディアのカスタマージャーニーマップの場合には、課題認識、リサーチ、問い合わせ、稟議、発注、構築、運用開始と、段階を分けて作成します。段階は、商品によってまったく異なります。自社サイトの顧客がどのように遷移するのかを考えて決めます。

顧客の見るメディア

自社の情報だけではなく、他社のものも含めてリストにします。マスメディアやSNS、競合サイトなど、考えられるものはすべて書き出すことが重要です。チャネルとタッチポイントに分けて書くこともあります。チャネルには、顧客と商品との接点を作るうえで必要となった媒体を記述します。タッチポイントには、顧客と商品の接点を記述します。例えば、あるユーザーが自宅でスマートフォン専用のキャンペーンコンテンツを閲覧していた場合、チャネルはスマートフォン、タッチポイントはキャンペーンコンテンツとなります。

顧客行動

それぞれの段階でユーザーがどのような行動をしているのかを「顧客行動」に書きます。設定したペルソナから想定されるユーザー行動を記述していきます。記述方法に特に決まりはありません。予想される行動をいくつかリスト化するような方法でもかまいません。ただし、抽象的な書き方ではカスタマージャーニーマップが機能しなくなります。可能な限り具体的に記述することが重要です。

例えば、あるユーザーが雑誌を閲覧していたとすると、次にはスマートフォンを使ってWebサイトで調べることが想定されます。しかし、「Webサイトで調べる」までに、ほかのアクションは起こすことも考えられます。InstagramやX(旧Twitter)の検索、ブランドの変更など、さまざまな周辺行動が想定できます。周辺行動を細かく洗い出せば、より顧客視点に立ったユーザー行動をイメージできるようになります。

感情変化

周辺行動を可視化できたら、次にそれぞれの段階で考え方や感情にどのような変化が生じたのかを「感情変化」に書きます。人間の感情には、喜怒哀楽さまざまなものがあります。その場その場の状況に応じて考えることも異なります。常に顧客視点に立って、想定できる思考や感情を記述しておくと、顧客が各ステージにおいて何を求めているのかを把握しやすくなります。

ワード例

「ワード例」は、それぞれの段階にいるユーザーがどのようなキーワードを検索エンジンに入力して調べているのかをリスト化したものです。段階によってはそもそも検索エンジンを使わない場合もあり、空欄にすることもあります。ワード例は、SEOを意識してコンテンツを作るときに用意しておくと便利です。

対応策

最後に「対応策」に具体的にどのようなコンテンツや機能をサイトに用意するべきかをまとめます。商品の販売時に発生する課題を解決するための自社のアクションを書き出します。

ここでは、商品を購入する際にユーザーが感じる疑問、言い換えると、ユーザーの購買行動を阻害する要因について考えていきます。例えば、販売商品のラインナップ数が多すぎれば、消費者の判断を鈍らせてしまいます。そのほかにも、自社の商品に独自の強みがなければ、顧客は自社を選ぶ理由がなくなり、さらに魅力的な商品を他社で購入してしまうかもしれません。

在庫がなければ、そもそも購入には至りませんし、カスタマーサポートがなければ、購入者の満足度が低下してしまうかもしれません。事前にビジネス上の課題を考えておくことで、「顧客が買わない理由」を減らしていくことができます。

どうやって活用するのか?

カスタマージャーニーマップが完成したら、具体的にどのように活用すればよいのでしょうか。

おすすめの方法は、カスタマージャーニーマップに書き出した「対応策」を理想状態として設定し、現状との差を埋めていくという使い方です。カスタマージャーニーマップによって、顧客体験として外せないコンテンツや機能のリストができているため、現状のサイトでカバーできていない部分を追加したり、既存のページを修正したりすることで対応しています。

本格的にカスタマージャーニーマップやペルソナを作ろうとした場合には、それぞれ複数のパターンを作ることもあり、膨大なタスクが積み上がってしまいます。このような場合、いきなりすべてに着手するのは難しいため、優先順位を付けて順次、実施するようにします。

優先順位を付ける際に意識したいのは、ユーザーが購入に至るまでの心理的距離です。すでに意欲が高まっており、購入しやすい状態のユーザーをスムーズにコンバージョンまで導くにはどうすればよいかを考え、その対策を優先的に実施した方が早く成果が出ます。集客のための読み物やコラムなどを作って、ユーザーの購入意欲を高めることからはじめるより、サービス紹介や料金表、顧客導入事例、よくある質問などを改善して、購入を検討しているユーザーの不明点を払拭し、購入に導いた方がよいということです。ただし、立ち上げたばかりで、まだ思うように集客できていないサイトには、この方法はおすすめできません。カスタマージャーニーマップの活用方法に絶対の正解はなく、正解はサイトの状況によって異なります。

成功させるためのポイント

作成したカスタマージャーニーマップの成功確率を高めるための方法をいくつか紹介します。

社内の関係者を広く巻き込む

カスタマージャーニーマップを作るときに陥りやすいのは、自社にとって都合のいい妄想を元に作成してしまうことです。「顧客はこう動くはずだ」「顧客は自社についてよく理解しているはずだ」といった願望や思い込みは、効果的な施策を考えるうえでは障害にしかなりません。事実をベースにした分析をするために、顧客接点がある担当者と一緒に作ることをおすすめします。

マーケティングやサイト運営の部門の人だけで考えるよりも、ほかの部門の人を巻き込んだ方がよい結果につながることが期待できます。特に営業やカスタマーサポートなど、より顧客に近い立場で働いている従業員の意見を汲み取ることは大切です。部門横断でカスタマージャーニーマップを作るワークショップを開催して参加してもらwったり、30分から60分程度でインタビューの時間をとってもらったりなど、限られた時間のなかでまとめて意見を出してもらえるように工夫します。

複数人が意思決定に関与することを考慮(特にB2Bの場合)

購入の意思決定に複数名が関与することがあります。特にB2B(法人間取引)では、ある程度以上の金額になれば、一人だけで決定することはあまりありません。調査をして稟議を上げる担当者と、それを承認する上長がいるはずです。カスタマージャーニーマップやペルソナで特定の(仮想)個人だけを想定して作成すると、実態にそぐわないものになってしまいます。

商品ありきではなく、顧客の課題を中心で作る

自社の商品を中心に考えるのではなく、顧客の課題から作ることが大切です。顧客が自社商品を買う理由は、人によって異なるはずです。複数ある課題のうち、どれにフォーカスして作るかによって、カスタマージャーニーマップの内容はまったく違ったものになります。

また、商品軸で考えると、直接的な競合商品だけと比較するような結果になってしまいがちなのですが、実はまったく関連性のない商品やサービスが代替の解決策になっていることがあります。「商品比較」の前に、「方法の比較」があることを意識することが重要です。例えば、あるユーザーがある商品に不満を抱いているときには、

  • 使うのをやめて我慢して、何も使わない
  • 代わりの似た商品を探す
  • 別の方法で問題を解決する

などの選択肢があります。

実態に即してアップデートしていく

カスタマージャーニーマップの作成には顧客の一連の体験を俯瞰する必要があります。そのため、最初から完璧なものを作ることはできないと考えておいた方がよいでしょう。まず、わかっている範囲で全体を作ってみることをおすすめします。その過程で自分たちが理解できていない部分が明確になり、その後、ブラッシュアップしていくという流れで進めることをおすすめします。

無料で利用できるテンプレート

カスタマージャーニーマップは、Excelなどを利用して作ることもできますが、ダウンロードしてすぐに使えるテンプレートが公開されており、これらを利用して作ることもできます。テンプレートは用途別にあらかじめ項目が埋められているので、カスタマージャーニーマップを作成する際の考え方の参考にもなります。ここでは、HubSpot社のカスタマージャーニーマップテンプレートを紹介しますが、そのほかにも多くのサイトでテンプレートが提供されていますので、検索してみてください。

カスタマージャーニーマップテンプレート
https://offers.hubspot.jp/customer_journey_guide

インバウンドマーケティングのプラットフォーム「HubSpot」を提供していることで知られる米企業・HubSpot社のサイトでは、7種類のテンプレートを含む「カスタマージャーニーマップの基礎と作成手順」コンテンツを公開しています。氏名やメールアドレスなどを登録する必要はありますが、すぐにダウンロードして利用できます。

コンテンツに含まれるマップテンプレートは、

  • 認識・検討・意思決定の3ステージで作成する「バイヤージャーニー・テンプレート」
  • 最も広く利用されているカスタマージャーニーマップである「カレントステート・テンプレート」
  • リード(見込み顧客)を育成して既存顧客とするためのプロセスをマップ化した「リードナーチャリング・テンプレート」
  • 将来何が起こるのかをステップでマップ化した「フューチャーステート・テンプレート」
  • 一日を朝・午前中・昼・夕方・夜と分けて、日常生活のなかでのユーザーの考え方や行動をマップ化する「デイ・イン・ザ・ライフ・テンプレート」
  • 顧客の解約理由に焦点を当てたマップ「カスタマーチャーン・テンプレート」
  • サービスの質や価格に焦点を当てて、サービス内容を検討するためのマップ「サービスブループリント・テンプレート」

そのほかにも、カスタマージャーニーの概要や重要性、作成することで得られるメリット、作成手順などを簡潔にまとめた記事も含まれています。

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毛塚 智彦

この記事を書いた人

毛塚 智彦

2006年からデジタルマーケティングを開始し、2008年にサイトエンジンを創業しました。 SEO、コンテンツマーケティングが得意です。立ち上げた直後のメディアから、数千万PVあるようなポータルサイト・ECサイトまで、幅広く関与してきました。 業務ではマニュアル作成などの仕組みづくり、事業立ち上げ、採用などを担当しています。 Twitter

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