「デジタルマーケティング」とは、どのような意味があるのでしょうか。使用されるチャネルの種類や、具体的なマーケティング手法について確認しましょう。
デジタルマーケティングを導入するための詳しい手順やメリットについても解説しています。
デジタルマーケティングとは何か
デジタルマーケティングは、インターネットやスマートフォンなどの「デジタル技術」を駆使したマーケティングの総称です。デジタル技術が社会に深く浸透した現代のマーケティングには、不可欠の存在だといえるでしょう。
まずはデジタルマーケティングの定義について、「Webマーケティング」との違いを含めて解説します。
「Webマーケティング」を含んでいる
デジタルマーケティングと似た言葉として「Webマーケティング」があります。これはWebサイト、ホームページなどの「Web技術」を使ったマーケティングのことです。
Web技術はデジタル技術の一種ですから、「Webマーケティングはデジタルマーケティングに含まれる」ということになります。
デジタルマーケティングは、「Web技術」を含め、デジタル技術を駆使したマーケティング手法の総称なのです。
豊富にある「チャネル」を駆使する
デジタルマーケティングでは、前述の「Webサイト」の他に「Email」「SNS」「アプリ」など、デジタル技術のチャネル全般が使用されます。
「チャネル」とは、商品やサービスを届ける流通経路のことです。デジタルではないマーケティングのチャネルとしては、ホワイトペーパーや新聞、ダイレクトメールなどがあります。
現代では、マーケティングのチャネルの多くがデジタル技術に置き換わっているので、その重要性が高くなっているのです。
7つの手法を紹介!デジタルマーケティングの種類
デジタルマーケティングの主な手法を7種類紹介します。基本的には使用する「チャネルごと」に分類されますが、一つの手法で複数のチャネルを駆使することもあります。
SEO(検索エンジン最適化)
SEOとは「Search Engine Optimization」の頭文字を取った言葉で「検索エンジン最適化」という意味です。チャネルとして主に「Webサイト」を使用します。
自社のホームページや商品を紹介するWebサイトが、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位に表示されるように、サイトを最適化することです。
検索エンジンを使うユーザーの多くは、何かを「したい」「知りたい」「買いたい」、あるいはどこかへ「行きたい」と思っています。そのニーズに答えるようなWebページを作ることで、検索エンジンで上位に表示されるように工夫し、ユーザーの目に留まりやすくする手法です。
検索エンジンを使うユーザーの疑問や悩みの解決策として自社サービスへ誘導するなど、ランディングページからの申込みや成約を目指します。
SNSマーケティング
SNSとは、「Twitter」や「Instagram」などのソーシャル・ネットワーキング・サービスのことです。「SNSマーケティング」では、チャネルとして主にSNSを駆使します。
マーケティングに使用されるSNSとしては、他にも「Facebook」「LINE」「Pinterest」などが有名。
最近では、調べものをするために検索エンジンではなくSNSを使用する人も多いため、とても重要なマーケティング手法です。商品やサービスに関する口コミを、いかにSNSで拡散してもらうかが、売上に大きな影響を与えることもあります。
自社の公式アカウントを作成して、拡散してほしい情報を投稿するだけでなく、他のユーザーと交流したり、キャンペーンを開催したりなど、SNSの活用方法はさまざまです。
動画マーケティング
動画マーケティングとは、「コンテンツ」としての動画を配信する手法。
商品をPRする動画だけでなく、ユーザーの役に立つ情報が得られる動画や、コンテンツとして純粋に楽しめる動画などを配信するマーケティング施策です。
活字離れが進み「主に動画を観るためにインターネットを使う」ユーザーが増えているため、Webサイトなど「主にテキストによるコンテンツ」ではユーザーに届かない場合があります。そのようなユーザーを獲得するための施策が、動画マーケティングです。
動画を配信するチャネルとしては「YouTube」などの動画共有サービスだけでなく、「Twitter」「Instagram」なども使用されます。
Webサイトを作る必要がなく、自社で運営するメディアを持たなくても始められるので、工夫すれば低予算でも始めることが可能です。
アプリマーケティング
スマートフォン用のアプリなどを活用するマーケティング手法です。自社サービスの専用アプリを作って、ユーザーのスマートフォンやタブレットにインストールしてもらいます。
アプリをインストールしてもらうことが重要なので、アプリマーケティングでは「無料アプリ」として提供するのが普通です。
アプリマーケティングの一例として、通販サイトの無料アプリが挙げられます。Amazonや楽天市場では、スマホなどで便利に買い物ができる無料の専用アプリをユーザーに提供。ユーザーの端末内にアプリをインストールしてもらうことで、ユーザーとの接点を増やすことになり、「プッシュ通知」などでキャンペーン情報などを直接伝えることもできるようになります。
ユーザーの利便性と、マーケティングを両立できる手法です。
「IoT」によるマーケティング
アレクサやGoogleホームなどに代表される「IoT」を活用するデジタルマーケティングもあります。
「IoT」とは、「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」という意味です。スマートフォンやパソコンだけでなく「身の回りのあらゆるモノ」をインターネットに接続して、便利な機能を持たせる技術が「IoT」です。
家庭だけでなく、交通機関や、農業などの産業、医療現場など、あらゆる現場で使用される「モノ」が、インターネットとつながることで便利になっています。
IoTによるマーケティングでは、家電を外出先から遠隔操作できるなどの「アプリ」を利用することが多くあります。アプリの使用状況などからユーザーの行動に関するデータを得られ、マーケティングに活かせるのが、IoT活用のメリットです。
デジタル広告の配信
デジタル技術を利用した「広告」を配信するマーケティング手法は、多くの企業が導入しています。
デジタル広告は、Webサイトだけでなく、SNSや動画共有サービス、アプリ、街頭の看板など、あらゆるチャネルで配信可能です。
広告の種類も多くあり、「リスティング広告」「アフィリエイト広告」「アドネットワーク広告」「SNS広告」などが挙げられます。
これらの広告は、申込みやクリックなどの「成果」が発生するごとに費用が発生する形式です。そのため費用対効果が明確であり、予算を立てやすいのがメリット。「どこに配信するか」「広告の種類はどうするか」という点について、実際のデータを見ながら工夫していくことが可能です。
成果ごとの課金ではなく、一定の料金で広告費用を支払うタイプとしては「純広告」「タイアップ広告」などがあります。
Eメールマーケティング
メルマガなどを利用する手法は「Eメールマーケティング」と呼ばれます。
メルマガ形式だけでなく、資料請求した人などに送る「フォローアップメール」や、会員登録した人に定期的に配信する「ニュースレター」などがあります。
Eメールによって最新情報を届けることで、ユーザーとの関係性を保ち、リピーターになってもらうなどの効果を狙う施策です。
ただ配信すればよいのではなく、開封率が高くなるような件名を考え、商品やサービスのファンになってもらうような本文を考える工夫が求められます。
【基本から解説】デジタルマーケティングの始め方
デジタルマーケティングを導入する場合に、どのような手順で始めればよいのでしょうか。4つの段階に分けて詳しく解説します。
準備として「STP分析」をする
「STP分析」とは、マーケティングの基本計画を立てるための基本メソッドです。以下の3つの用語の頭文字から来ています。
- セグメンテーション(Segmentation):市場の細分化
- ターゲッティング(Targeting):市場の決定
- ポジショニング(Positioning):自社の立ち位置の決定
デジタルマーケティングにおいても、まずはこの「STP分析」を実施することで、どのチャネルを使用し、どのマーケティング手法を使うかなどの詳細を決めやすくなります。
「セグメンテーション」とは、市場全体をいくつかのグループ(セグメント)に分割することです。年代や趣味、性別など、同じ特徴を持つ複数のセグメントに分けて、市場を細分化し、分析を行います。
「ターゲッティング」の段階では、どのセグメントを対象(ターゲット)にするかを決定。
「ポジショニング」では、ターゲットに決めたセグメントに対して、競合他社の状況などを考慮し、自社の立ち位置(ポジション)を決めます。
この3つを明確にすることで、例えば「ターゲットにする年代のユーザーが多いSNSを利用する」など、自社にとって最適なデジタル技術がどれなのかが明確になります。
カスタマージャーニーマップを作る
カスタマージャーニーマップとは、ユーザー(カスタマー)が商品やサービスに興味を持ち、検討し、購入に至るまでの「感情」「思考」「不満」などの流れをまとめた図(マップ)です。
ユーザーが購入を決めるまでの流れを図にすることで、自社の事業にはどのマーケティング手法を取り入れるべきか、どの手法は適していないかなどが明確になります。
前述のとおりデジタルマーケティングはチャネルや施策の種類が豊富なので、まずは自社が力を入れるべき施策が何かをはっきりさせることが重要。そのために、カスタマージャーニーマップが必要なのです。
KGI達成への「KPI」を明確にする
マーケティングの最終目標への中間地点として「KPI」と呼ばれる数値を設定することも重要です。
「KPI」とは、Key Performance Indicator の頭文字を取った用語で「重要業績評価指標」という意味があります。
これは、例えば「12月までに売上を10%アップさせる」という最終目標がある場合に、「そのためにはWebサイトのアクセス数を、10月までに2倍にする必要がある」などの中間的な指標のことです。
KPIは一つとは限らず、多くの場合一つのKPIを達成するためには、さらに細分化した複数のKPIを達成する必要があります。例えばWebサイトのアクセス数を増やすために「9月までに新しい記事を100ページ公開する」「そのために新しいライターを10人探す」などです。KPIを細分化するほどに、具体的なアクションを起こしやすくなるでしょう。
そしてマーケティングの最終目標として達成すべき、具体的な売上数値のことを「KGI」と呼びます。これは Key Goal Indicator の頭文字を取った用語で「重要目標達成指標」という意味です。KGIを達成するための「KPI」を明確にすることで、効率的にデジタルマーケティングを導入しやすくなります。
「マーケティング・オートメーション」も検討する
デジタルマーケティングは、「マーケティング・オートメーション」について検討することも重要です。
マーケティング・オートメーションとは、人間が行っていたマーケティング活動の多くを、専用のソフトウェアで一括管理するなどの方法で「自動化」することです。英語表記の Marketing Automation を略して「MA」と呼ばれることもあります。
顧客データの収集と管理、マーケティング施策の効果分析など、多くの部分を自動化することで業務を効率化。自動化によって余ったリソースを、重要な業務に配分できるなどのメリットがあります。
デジタルマーケティングは、マーケティング・オートメーション用のソフトウェアと連携しやすいのが魅力です。デジタルマーケティングの導入を検討するにあたり、「どのように業務を自動化するか」という点も十分に検討しましょう。
BtoBにおけるデジタルマーケティングの役割・メリット
BtoBの商品やサービスを提供する会社でデジタルマーケティングを導入することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。BtoBにおけるデジタルマーケティングの役割を解説します。
営業・商談の「非対面化」につながる
デジタルマーケティングによって、営業活動の多くの部分をデジタル化することになり、「非対面化」を実現できるのが一つのメリットです。
デジタルマーケティングでは、人が行っていた営業活動をWebサイトやEメール、SNS、Web面談システムなどのデジタル技術に置き換えることになり、対面での営業活動を減らすことになります。
人との接触が減ることによる新型コロナ対策や、移動時間が減ることによる効率化・コストカットなどが期待できるのです。
ただしBtoB商品やサービスによっては、現場に担当者が出かけて見積もりをする必要があるなど、「完全デジタル化」ができないことがあります。とはいえ一部だけでもデジタル化して「非対面化」することで、上記のようなメリットを得ることには十分に価値があるといえるでしょう。
「データ収集」がしやすくなる
BtoBでデジタルマーケティングを導入することで、マーケティング施策の「効果分析」をするためのデータを収集しやすくなります。
デジタルマーケティング全般にいえることですが、BtoBにおいても効果分析は重要なポイント。「どの施策に効果があり、どの施策の効果は少ないのか」を計測し、コストパフォーマンスを確認しながら、マーケティング施策を最適化していく必要があります。
デジタルマーケティングでは多くの場合、必要なデータを自動的に収集できるので、マーケティング施策の効果分析がしやすいのです。
まとめ
デジタルマーケティングは、チャネルの種類が豊富にあり、マーケティング手法のバリエーションも多くあります。
新しいデジタル技術が登場すれば、それに合わせて新しいマーケティング施策を検討してくことも必要です。最新のデジタル技術の情報にも目を向けながら、自社のサービスや商品に適したデジタルマーケティングを導入しましょう。