インタビュー記事とは、人物取材を行い、それを文章化したものです。執筆者は、インタビュー記事を通じて「何を読者に伝えたいのか」という点をよく把握した上で、取材・執筆しなくてはいけません。
この記事では、インタビュー時にコミュニケーションを円滑に進めることができるちょっとしたコツをはじめ、インタビュー記事を書くにあたってどんなことに気を付けたら良いのか、具体的な書き方の注意点やポイントを、現役のインタビュアーがご紹介します。記事を書く上での心構えや、覚えておくと良いことなどもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

インタビュー前の準備

インタビュー記事の目的を確認する

企業がインタビュー記事を作成するのには、必ず何らかの明確な目的があります。
たとえば社長のインタビュー記事であれば、「株主やクライアントに社長の人柄や企業そのものについてもっとよく知ってもらい、企業価値を高めたい」というような目的を設定していることもあるでしょう。新製品に絡むインタビュー記事なら、「発売するタイミングで責任者による製品の開発秘話やエピソードなどを紹介し、製品の信頼性を高めたり、その製品に愛着を持ってもらったりするきっかけにしたい」などといった戦略を立てているのかもしれません。
なぜ今インタビュー記事を欲しているのか、その目的や最終着地はどこなのかを、必ず事前に整理し明確にしておきましょう。 目的をきちんと把握できていれば、インタビュー記事を意図通りの良質なコンテンツに仕上げることができるはずです。

下調べを入念に行う

インタビュー記事の目的が人物の紹介であれば、その人物についてあらかじめ入念に調べておきましょう。
たとえば、その人物が過去にテレビや雑誌などのメディア露出をしたことがあれば、できる限り目を通しておきます。FacebookなどのSNSやYouTubeに何か公開されていないかどうかも要チェックです。
また、過去に寄稿した記事や執筆した書籍などがないかどうかも調べておきましょう。それらの原稿を読むことで、インタビュイー(取材される人)の半生や思わぬエピソードがわかったり、性格や趣味、人生のモットーや大切にしている座右の銘など、様々なことを把握したりすることができるはずです。こういった情報を頭に入れておけば、実際のインタビューにおいて、話のきっかけに利用したり、記事執筆の際の補足資料として活用したりすることもできます。相手のことを何も知らないでいきなりインタビューするより、ずっと深い取材をすることができるでしょう。
もしインタビュイーについて事前に何も情報が得られない場合は、周辺情報を把握しておくようにしましょう。 たとえば新製品についてのインタビュー記事であれば、その企業の他製品やライバル製品についての情報を収集しておいたり、企業理念やビジョンなどを把握したりしておきます。また、基本の従業員数や創業年数、取り扱い製品や展開地域、売上規模など、その企業について分かり得る情報はなるべくたくさん頭に入れておきます。インタビュイーの情報がほとんどなくても、その企業のトップやそれに近い人物の情報があるかもしれません。
まったく何の事前情報もない状態で当日のインタビューに向かうのは、インタビュアーとしては失格です。

質問事項を設定する

どんなことをインタビューするのか、その項目を決めることは、コンテンツの質を大きく左右する大切な事項です。目的と記事構成を考え、質問内容を具体的に考えておきます。
執筆する際には、質問とその回答を時系列に構成していくほうが自然です。質問の順番と、想定される回答も考えながら設定していきましょう。「もしこう回答されたら次はこういう質問もしてみよう」と、想像力を働かせながら構成を考えてみるのもおすすめです。
しかし当日、話の流れが思わぬ方向に進んでしまい、用意していた質問をすべて網羅できないこともあるでしょう。そのため、「これだけは絶対に抑えておかなくてはいけない」という質問事項は、必ずわかるようにメモしておきます。 また、実際にインタビューをしてみると、インタビュアー側が予期していなかった面白い話を引き出せることもあります。 たとえ少々脱線しても、ある程度話してもらったほうが、あとで記事としてまとめた時に良いものが仕上がるかもしれません。「質問事項はその場で変更する可能性もある」という臨機応変さを持ち合わせておくことも、時には必要です。

インタビュー当日におけるポイント・注意点

時間厳守

当たり前ですが、遅刻は厳禁です。また、インタビューの設定時間は必ず守るようにしましょう。60分なら60分以内に必ず終わらせるように段取ります。いつまでもダラダラと取材を続けていてはいけません。相手も忙しい時間を割いて応じてくれていることを肝に銘じましょう。
万が一、遅刻をしてしまうことがわかったら、その時点で担当者にできるだけ早く連絡を入れておきます。そのため、インタビューすることが決まった時点で、窓口の方の当日の連絡先を必ず控えておきましょう。

ボイスレコーダーは複数台持参

録音をする際は、インタビューを始める前に必ず相手に断りを入れてから機械を回します。この時、バックアップ用の録音機材(スマホの録音機能など)をもう一台用意しておくことをおすすめします。機械を100%信用してはいけません。いつ何時、どんなトラブルが発生するかわからないからです。
当たり前のことですが、前日までにバッテリーの確認や、録音・再生がきちんと機能するかどうかのチェックも忘れずに行いましょう。

インタビュイーをリラックスさせる

インタビュイーは、必ずしも取材されることに慣れているとは限りません。特にその人にとって初めてのインタビューだった場合、インタビュアーはより相手をリラックスさせる工夫をするべきです。
アイスブレイクという言葉がありますが、ご本人がかなり緊張している様子ならまずはその緊張を解きほぐし、コミュニケーションが取りやすいよう配慮しましょう。決められた時間でのインタビューだからといって、いきなり取材をスタートさせても有益な情報や面白いエピソードを引き出すことはなかなかできません。まずは、インタビューに積極的に関わってもらえるような体制を整えることが大切です。

インタビュー終了後も気を抜かない

インタビューがひと通り終了した途端、緊張から解き放たれたインタビュイーが流暢に話し始める、といったことはよくあります。 こういう時にこそ、きらりと光る言葉が発せられることも多いため、相手の話を聞き逃すことのないように気を付けましょう。そのための工夫として、ひと通り取材を終えたら録音機のボタンを切り、残りの時間を雑談に充てる、といったことも考えられます。その中で、あとで記事化できるようなものがないかどうかを探したり、聞きそびれたことやもうちょっと聞きたいことなどを、さりげなく質問したりしても良いかもしれません。

インタビュー記事の書き方・コツ

取材後はなるべく早く執筆し、じっくり推敲

取材記事を書くポイントのひとつとして、「取材が終了したらできるだけ早く執筆をスタートさせること」が挙げられます。 人物取材なら、その方とのやり取りを細かいところまで鮮明に覚えている状態で書くほうが、より臨場感のあるテンポの良い文章で綴ることができます。
さらに、早くスタートすることで、推敲の時間を十分に取ることもできるでしょう。 そして推敲をする際は、文章を書きあげてから少し時間を空けることをおすすめします。何も知らない第三者のような新鮮な気持ちを持って、あらためて自分の書いた文章を読んでみましょう。誤字脱字が見つかったり、ひとつひとつの言葉の選択がふさわしくなかったり、文節や段落を入れ替える必要が出てきたりするはずです。 推敲は一度ではなく、時間のある限りぎりぎりまで何回、何十回と重ねます。その際は細かい一字一句の推敲はもちろんのこと、文章全体を鳥瞰することも大切です。
インタビュー原稿に正解はありません。何度も推敲を重ね、言葉を研ぎ澄ますことで、より質の高い記事に近づけることができます。 「早めの執筆、じっくり推敲」を意識してください。

「3種類の書き方」とその特徴を覚えておく

インタビュー記事には、3種類の書き方があります。どれを採用するかは、記事の目的等に沿ってあらかじめ考えておくとスムーズです。

1. 対談形式
インタビュアーの質問に対して、インタビュイーが回答する書き方です。取材のやり取りをそのまま投影できる部分が多いため、より自然な形の記事に仕上がります。 ただし、余計な言葉を削除したり、曖昧な数字やデータを正したり、話し言葉を書き言葉に変更したりする必要はあるかもしれません。あくまでもインタビュー記事の目的に寄り添うことを忘れず、読みやすい文面に整えましょう。

2. 一人称形式
インタビュイーが、自ら読者へ語りかけているかのような書き方です。自分の言葉で話しているような印象を作り出せるため、インタビュイーの性格や考えがストレートに伝わり、人物像をより鮮明に浮き上がらせることができます。 これも、取材時のご本人の言葉をそのまま一人称形式に変更しただけでは読みやすい文章にはなりません。場合によっては、その人が使うであろう単語を想像して、内容を補足する必要があります。 全体として読んだ時に、インタビュイーの人となりが違和感なくにじみ出るような文章を心がけましょう。

3.三人称形式
インタビュアーが受けた印象も盛り込む、三人称形式の書き方です。取材で語られた言葉だけでなく、その時にインタビュアーが思ったことや、受けた印象なども一緒に書くことができます。 ただし、少々堅い文章になるため、カジュアルな記事にはあまり向きません。全体から受ける印象や、その時々の話題によって変化するインタビュイーの感情を文面にちりばめ、情報量の多い記事へ仕上げたい時におすすめです。 インタビュイーの表情やしぐさなどはボイスレコーダーに残らないため、あとから確認することはできません。インタビュアーの力量が試される書き方といえるでしょう。

どの書き方を選択しても、取材した内容と目的に沿って書くことが大切です。 インタビュイーの回答内容によっては、事前に想定していたものとまったく違う構成にしたほうが良い記事になるかもしれません。どんな場合でもあくまで目的を忘れず、臨機応変に対応していきましょう。

記事内容をインタビュイー等に確認する

記事が仕上がったら、次はインタビュイーに内容を確認してもらわなければなりません。この作業には時間がかかることもありますので、なるべく余裕を持ったスケジューリングで行いたいものです。
また、社内に取材記事を発注した別の担当者がいる場合は、そちらにもできあがった原稿を送り、内容を確認してもらいます。 場合によっては大幅な書き直しを要求されたり、追加取材が必要になったりすることもあります。 せっかく完璧だと思って提出した原稿が全面的に否定されるのは、非常につらいことです。しかし、「協力してひとつの良いインタビュー記事を仕上げる」という気持ちで、淡々と書き直しを行いましょう。
最終的な校了まで、何度もやり取りするのは当たり前です。いよいよ記事が世の中に産声を上げるための大切な作業ですから、誤字脱字などのチェックも含めて最後まで気を抜かず、じっくり確実に行っていきましょう。

インタビュー記事は、目的を明確にし、それに沿って書くことが大切です。あらかじめインタビュイーについて調べたり、質問事項を具体的に用意したりなど事前準備をしっかり行い、目的に沿った質の高い記事を作れるように心がけてください。


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ライター 黒田佳子
ライター・インタビュアー歴10年。米国IT系企業広報担当としてニュースリリースや社内外広報誌の記事執筆、編集等を経験。その後ホワイトペーパーやファクトシート、オウンドメディアのためにインタビュー取材&記事執筆を多数こなす。現在はかくたまブログの記事執筆や校正者としても活動中。