ホームページなどに法律系コラムを載せてみたいとお考えの方や、これから法律系コラムを書いてみようとお考えのライターの方に向けて、かくたまライティングに所属する弁護士ライターまなが、記事作成の際の注意点についてご紹介します。
そもそも何のために法律系記事を執筆するのか、誰に頼めばよいのか、テーマの選び方はどうすればよいかといったことから、コンテンツ制作の具体的な方法、法令等の調査の重要性とその方法、文章の内容を検討していく上での注意点などまで、わかりやすく説明します。

法律系記事の作り方は目的とテーマ選びから

まず、法律系記事を何のために書くのかを考えてみましょう。

最近では多くの方が法律事務所に相談に訪れたり電話相談をするよりも前に、まずはウェブサイトで弁護士や法律事務所の情報を調べて比較するようになりました。弁護士事務所は自分たちのホームページを作成し、法律系のコラムを執筆して掲載することにより、取扱業務分野、弁護士としての強み・考え方(信念・ポリシー)などを、相談しようか検討している方に伝えることができます。コンテンツが弁護士の信頼性を向上させることにつながります。
よくある手続きなどをコンテンツにすれば、説明の際に利用したり、説明の後で相談者が再度詳細を確認するために利用したりと、顧客満足を向上させる手助けにもなります。まずは何のためにコンテンツを制作するのか、という目的をはっきりさせておきましょう。目的を決めずなんとなく、で始めてしまうと、集客もできず、読み手を満足させることもできない記事を作ることになりかねません。

その後、記事のテーマを選びます。今日、特に法律系のコンテンツで需要が多いのは、離婚、交通事故、相続、借金などの身近な法律問題です。読み手は、これらの法律系のテーマに関して、読みやすく、かつ信頼のおける情報を求めています。
一口に離婚と言っても読み手の求める情報は多岐にわたります。「離婚したいのにできない」「離婚しようかどうか迷っている」「離婚するにはどのような手続きが必要なのか」など、読み手の求める情報は異なります。検索に使われるキーワードなどからそのニーズの掘り起こしを行います。テーマを選んだあとは、読み手のニーズに合わせたコンテンツの執筆にとりかかります。


法律系コンテンツを制作する方法~ライターへの依頼など

法律系のコンテンツ制作の方法には、自ら必要な調査を行って執筆するほかに、「法律関連の記事を書いたことがある」という調べものが得意なライターに依頼する方法や、弁護士や行政書士にライティングを頼む方法があります。

特別な資格を持っていないライターに依頼する場合、価格を安く抑えることができる反面、最新の法律・裁判例に関する知識が不足していて記述が正確でなかったり、法的な思考に基づいた論理的な記事を執筆できない可能性もあります。このような場合は、有資格者に監修をしてもらうなどのチェックを施すことが重要となります。
弁護士などの有資格者によるライティングは専門的な言い回しが増えてしまい読みにくい文章になってしまうことがあります。第三者による校正などで、読みやすくする事をおすすめします。

また、弁護士などによるライティングは、条件に合致するライターが少ないため、高額になったり、一度にたくさんの記事を書くことができないというデメリットもあります。


法律系コンテンツを書くための調査の重要性

法律系のコンテンツは、大きな財産であったり、家庭・職場などのトラブルにかかわる内容などを取り扱うこととなるため、コンテンツの内容が誤っていると、ユーザーが、財産上大きな損失を被ってしまったり、トラブルをより悪化させてしまうといったことも起こりかねません。

そのため、法律系コンテンツ制作に際しては、最新の法令・裁判例等を十分に調査し、正確な内容を記載することが何よりも重要となります。

また、法令、裁判例等は、日々新たなものに更新されていくため、どの時点の法令等に基づいて作成されたものかが重要なポイントとなります。最新の法令や裁判例等にあわせて記事を随時アップデートできればベストですが、それが難しい場合は、せめて、「いつの時点の法令・裁判例等に基づいて執筆された記事か」を、記事の中に明記しておくべきでしょう。


法律・裁判例などの調査の方法

では、実際に法律系のコンテンツを書くときには、どのような情報源によるべきでしょうか。

弁護士等の有資格者が執筆するのであれば、普段の業務におけるのと同様、最新の文献や、有料の判例検索データベースなどにより、徹底して情報を収集した上で記事を執筆することが重要であるのは言うまでもありません。

一方、こうした情報源へのアクセスが限定されている方であっても、今日では、インターネットを活用し、官公庁等の信用性あるサイトを閲覧することで、相当量の情報を収集し、正確な記事を作成することは、不可能ではありません。

たとえば、最新の法令等は、政府の提供する「e-Gov法令検索」を用いて検索することができます。

裁判例の全文については、裁判所ホームページの裁判例検索機能を使って調べることができます(ただし、掲載件数は限られています)。

法律や裁判例以外にも、各法令の所管行政庁が、その法令を実務上どのように解釈・運用しているかについては、各省庁が公表しているパンフレットや、ガイドライン・指針等が非常に参考になります。

また、司法・犯罪に関する統計データ等は裁判所の「司法統計」や法務省の「犯罪白書」に、消費者被害・トラブル等に関する統計データ等は消費者庁の「消費者白書」に毎年掲載されており、インターネットで手軽に見ることができます。これらを活用することで、記事の内容に具体性と説得力をもたせることができます。


コンテンツの内容についての注意点

実際に法律系コンテンツを書くときには、内容面でどのようなことに注意すべきでしょうか。


適度にわかりやすい表現を心掛ける

まず、一般の方にもわかりやすく書くことが重要です。法律用語の中には、日常生活ではあまり使われない難しい用語(「瑕疵」「欠缺」など)や、日常用語と少し違う意味で使われている用語(「善意・悪意」「果実」「混同」など)があります。こうした用語については、適宜、一般に使われている言葉に置き換えたりしないと、ユーザーの理解の妨げになる場合があります。

ただし、むやみに重要な法律用語の使用を避けるだけでは、実際に裁判や書類で法律と向き合う必要に迫られているユーザーの役には立たないこともありますから注意が必要です。そのような重要な法律用語については、むしろ、法律や裁判においてどのような意味で用いられているのかを、丁寧に説明するなどをしたほうがよいと考えられます。

用語だけでなく、言い回しのわかりやすさにも気を配るとより読みやすくなります。法律や裁判例の中には、日常あまり使わない言い回しをしているものがあります。たとえば、商法第594条第1項には、「旅店、飲食店、浴場その他客の来集を目的とする場屋の主人は客より寄託を受けたる物品の滅失又は毀損につきその不可抗力によりたることを証明するに非ざれば損害賠償の責を免るることを得ず」とありますが、一般の方には少々意味がわかりづらいですよね。

また、裁判の判決文の中には、「けだし…」といった普段あまり使わない言葉を用いていたり、一文が非常に長いものなどもあります。こうした表現は、適宜わかりやすい言い回しで説明を補足するなどの配慮により読みやすくなります。ただし、元の表現から意味が変わってしまわないように注意が必要です。


誤解を招かないような記載をする

単なる学説の羅列はわかりづらくなりますので避けましょう。法律の専門書籍は、法律の文言の解釈について、対立する複数の学説を紹介していることが一般的です。これらの記述は、学問上、あるいは裁判で法律の解釈が争いになった場合などには重要な指針となるものですが、一般のユーザーにとっては、単に学説を羅列されても、かえってわかりづらくなってしまうだけです。

ホームページに掲載する法律系コラムを制作するといった場合は、判例や通説、所管行政庁の実務上の取り扱い(ガイドライン)等を中心に、冗長になりすぎないよう記載するほうが適切な場合が多いでしょう。もっとも、実際には解釈上重要な争いがある点について、全く争いがないかのように記載することも、それはそれで誤解を招きますので、適切なバランスで記述することも必要です。

さらに、一つの裁判例を取り上げて、それが同種の問題に広くあてはまるかのような書き方(過度な一般化)をしている法律系コラムなども見受けられますが、適当とは言えません。裁判で問題になるような法律上の争いは、その当事者同士の争いに特有の、言ってみれば少々イレギュラーな事情がポイントとなって判断がなされているケースも多くあります。このような裁判例を取り上げて、あたかもその種の紛争において裁判所の判断手法が確立されているかのように一般化して紹介してしまうことは、ユーザーに誤った認識を植え付けることにもなりかねません。当該裁判例が、先例として価値を持つようなものかどうか(裁判所の判断がある程度確立されてきているかどうか)判断できないときは、あくまで一つの事例として紹介するにとどめるなど、書き方を工夫することが適切です。


ユーザーが求める適切なテーマを設定した上で、場合によっては適切に執筆や監修を外部に依頼することも法律系コンテンツ作成の上で有効な手段となります。その上で、実際に法律系コラムを書くにあたっては、信頼できる情報源を用いて、最新の法令・裁判例を十分に調査した上で正確に書くこと、難解になりがちな法律用語等を、一般の人にもわかりやすいように書くことを心がければ、ユーザーから重宝される有益なコンテンツが書けるでしょう。


かくたまライター:まな

弁護士として9年の経験を持つ弁護士ライター。都内法律事務所において、企業間の訴訟、契約交渉、M&A案件や、株主総会指導等を多数手がける。一方で離婚、相続、刑事事件等個人を依頼者とする事件についても幅広く取り扱う。法律関連の書籍・記事の著作も多数。