この記事の対象読者と学べること
SEOに限らず、デジタルマーケティングを開始するときの最初の簡易的調査をしたいと考えている人向けに、すぐできるキーワード調査の方法を説明しています。広く関連したキーワードをリスト化できるようになります。
ビジネスモデルやユーザーの理解を進めてコンテンツ制作やSEOに活かせます。
キーワードとは?
検索エンジンにユーザーが入力する検索語句のことを指しています。

Googleでは1日あたり35億回の検索が発生しており、そのうち16~20%が過去に一度も検索されたことがない新しいキーワードです。
データ参照
Google Search Statistics – Internet Live Stats
How Google Search Really Works – ReadWrite
すべてのビジネスに大量のキーワードが関係しています。
Googleはそれぞれのキーワードが毎月何回検索されているのかをキーワードプランナーというツールで公開しており、それを参考にすることが多いです。また、Googleトレンドでは、過去の検索回数の推移をグラフで見ることができます。
以下はGoogleトレンドの結果の画面です。新型コロナウイルスの影響で、自宅で料理やお菓子作りなどをする人が増えていることがわかります。流行によって検索回数が伸びている様子や、季節変動を確認できます。

なぜキーワード調査を実施するのか
- ニーズを広くとらえユーザーの理解を深めて、コンテンツの企画に役立てるため
- カスタマージャーニーの前提となる材料を集めるため
- 月間検索回数を確認して、コンテンツをSEOのためにどう調整すればよいかを知るため
- コンテンツ制作の優先順位を決める材料にするため
キーワードからネタの着想を得て、自社の強みを活かせる場合にコンテンツ化します。
月間検索回数の多い順にキーワードを並べて、上から順番にコンテンツ化していくアプローチは、PV(サイトの閲覧数)やUU(期間内に利用したユーザー数)だけを目的にしている広告収益が中心のメディア以外では採用しないほうがよいです。
キーワードの種類で知っておきたいこと
キーワードの分類をするうえで参考になる考え方を以下にまとめています。上位表示させたいキーワードを1つ選び、そのために関連したコンテンツをつくるのではなく、広い範囲でコンテンツをつくりアクセスを積み上げていくのが大切です。

あくまでも考え方の一例なので、常に当てはめようとする必要はありませんが、知っておくと便利です。
SEOの前に検索キーワードの種類を知る Googleが公表しているKnow,Go,Do,Buyの4分類とは
キーワードのコンバージョン(成約)までの距離を知り、SEOに活かす
サジェストキーワードとは?
サジェストキーワードとは、検索エンジンにキーワードを入力すると候補として表示される関連したキーワードのことです。サジェストではなく、オートコンプリートと呼ばれることもあります。検索ユーザーは入力の手間が省けたり、自分では気が付かなかったより良い調べ方を発見したりするメリットがあります。
以下のように表示されます。

Google側で、よくセットで検索されていることが多い単語、Web上で関連した単語としてセットで頻繁に書かれていることが多いなど、何らかのロジックで提示していると考えられます。
キーワードのあとにスペースを挟んで、1文字別の文字を入れると、他の候補のキーワードを探すこともできます。
上記の例にあてはめると、以下のように入力していくことで、ほかのサジェストキーワードを閲覧できます。
「サジェストキーワード あ」
「サジェストキーワード い」
(以下同様に調べる)
しかし、あまりにもニッチなキーワードの場合、おそらくGoogle側で保持しているデータ量が少なすぎることが原因で、サジェストが表示されないことがあります。
なお、検索している地域、直前に検索した内容などによっても表示されるサジェストキーワードは異なります。よりユーザーの利便性が高まるように1人1人に最適化(パーソナライズド)されているためです。
サジェストキーワードについてより詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
サジェストキーワードとは?一括抽出ツール5選とSEOでの使い方
共起語とは?
共起語とは、あるキーワードと一緒に頻繁に使われている単語のことです。Googleは世界中のサイトの情報をサーバに蓄積しており、どの単語が組み合わされて使われる傾向にあるのかを把握しています。
あるテーマについての専門性の高い文章は、そのテーマでよく使われている専門用語がたくさん含まれているはずです。Googleは、コンテンツの品質を評価するための手段の1つとして共起語を用いています。
共起語はツールを使って調べる方法もありますが、自分で検索してみて上位のサイトを順番に読んでいけば、自然とどのようなキーワードが一緒に使われているかがわかるはずです。
キーワードの探し方
機能や特徴をお客様視点の言葉に置き換える
同じ意図や似た検索意図を持っている人でも、まったく違うキーワードを使っていることがありますので、広げて考えます。
- 商品の機能や特徴を、それによってお客様が得るメリットに置き換える
- 解決する悩みの言葉に置き換える
- 口語にする

お客様に聞く
お客様に直接どのように検索してサイトに訪問してきたかを聞くのは、意外なキーワードを探すのに良いです。ただ、キーワード調査のためだけにヒアリングの場を設けてもらうことは実際には難しいことが多いため、ほかの要件とあわせてついでに実施することが多いです。
直接打ち合わせで聞くだけではなく、過去に営業やカスタマーサクセス・カスタマーサポートに寄せられた質問や要望などを整理してみるのも新しいキーワードの発見に繋がります。あなたの会社を知ったきっかけや、接点を持った理由などを知りましょう。
アクセス解析や広告のデータから抽出する
アクセス解析やサーチコンソールやリスティング広告(検索連動型広告)などで、どんなキーワードで流入があるかをチェックします。
アクセス解析やサーチコンソールの自然検索(オーガニック)流入はすでに自社サイトで多少なりともSEOが出来ているキーワードしか表示されませんが、意外な組み合わせキーワードが見つかることもあります。リスティング広告は部分一致で出稿しているときに、予想していなかったキーワードで広告が表示されて、コンバージョンにつながっていることがあります。
特に客単価が大きなBtoBビジネスでは、月間検索回数がGoogleキーワードプランナーで表示されないような小さなキーワードであったとしても、リスティング広告でたまにコンバージョンが発生しているなら、SEOでも狙うためのコンテンツをつくる価値があります。
競合サイトを見る
同じお客様層を対象にしているほかのサイトを見てキーワードを知るのも方法は、特にサイトを始めたばかりの方におすすめです。
SEOで中長期的に成功し続けるには、狙った範囲でほかのサイトよりも情報が充実しているという状態を維持しなくてはいけません。そのためには、ほかのサイトを見て範囲ごとの情報量を把握して、よりよいコンテンツをつくるか、戦う範囲をずらすかをしなくてはいけません。
競合を見て、自社との差分を埋めるような取り組みは多くの企業で採用されているアプローチです。
自社しか保有していない情報を元にして、他社が作れないコンテンツだけを作っていき上位になれるのが理想ですが、現実には自社固有の情報だけで他社よりも充実したコンテンツにすることは難しいことが多く、どうしても他社も書いているような一般論も含めてネタとして採用していく必要があります。
順番に競合サイトを閲覧して、コツコツとどんなキーワードを狙っているかをまとめていく方法は一度はやってみてください。キーワードだけではなくコンテンツを読み込むことで学びもあります。
ツールで情報を取得する方法もあります。
Screaming Frog SEO Spider Tool & Crawler Softwareは、ほかのサイトのURLを入れるとページのタイトル、ディスクリプションなどを一覧にしてくれるので便利です。
見出し(hタグ)抽出 | ラッコツールズは、上位ページがどのような見出しを使っているかを一覧にしてくれます。
SEMrushとahrefsは、有料ですが、競合サイトがどのキーワードで何位になっていて、ヒットしているURLはどれかを一覧にして見せてくれます。気がついていなかったキーワードを発見するのに役に立ちます。
そのほかにもさまざあなツールがあり、以下で紹介していますので参考にしてください。
SEOキーワード選定のコツとおすすめツール!オウンドメディアの記事企画に
サジェストキーワードを調べる
サジェストキーワードの一覧を調べ、それをGoogleキーワードプランナーに入れて月間検索回数をまとめます。
Ubersuggestという無料ツールは、サジェストキーワードを月間検索回数とセットで表示してくれるので便利です。
軸となるメインのキーワードを検索する人が少ない場合、あまりデータを取得できないことがあります。
簡単にできるキーワード調査のステップ
- キーワードをデータを元にしてとにかく大量に洗い出す
- 軸となるキーワードを選ぶ。制作するサイト規模によるが、5-10程度
- 軸となるキーワードのサジェストキーワードを調べる
- サジェストキーワードの一覧をGoogleキーワードプランナーに入れて月間検索回数を取得する
- 同じもしくは似た検索意図を持つキーワードをグルーピングする
- マインドマップにして、足せる要素がないかを考える
- 足せる要素は必要に応じて追加で調査する
作業時間の目安
4時間 軸となるキーワードを1つだけ選んで整理する
8時間 軸となるキーワードを2-3選んで整理する
アウトプットのイメージ
エクセルファイル キーワード、月間検索回数、競合度のセット
xmindによるマインドマップ キーワードを分類したり、足したり減らしたりするのに便利です
マインドマップをPDF化したもの
以下の動画でキーワードマップの作り方を説明しているので参考にしてください。
こちらの動画では、先にスプレッドシートでキーワード分類してからマインドマップにしていますが、マインドマップを作成してからもキーワードを増減させます。
注意点
- 競合が大手企業のサイトの場合、特定のサブディレクトリに制限して調査をしないと、直接競合する商品に関連していない別商品向けのキーワードなども大量に含まれてノイズが混ざります。たとえば、ahrefsでは、URLを入れたあとに完全一致、部分一致、サブドメインを含まないドメイン、サブドメインを含むすべてのドメインを選択できるようになっていますが、ここで「部分一致」を選んでいないとほかのサブディレクトリのキーワードもすべて拾ってしまいます。

- 他社の商標を一切使えないサイトで、他社の商標に関連したキーワードをいくら整理しても、時間の無駄になってしまいます。一方で、広く他社のサービスやブランドも紹介するサイトであれば、それは意味があります。サイトの目的に応じて整理の仕方を決めましょう。
- 月間検索回数がGoogleキーワードプランナーで表示されないキーワードもリストに含める価値があります。なぜかというと、コンテンツを充実させるための材料になりうるからです。継続してコンバージョンに寄与する可能性があるキーワードであれば、検索回数がものすごく少なくても取り組む価値があります。コンテンツの制作コストを回収できそうな見込みがあるものであれば、すべて対象になります。
- 完成したアウトプットのイメージを持ち、考える時間と作業する時間を明確に切り分けしないと、際限なく時間が消化されます。かならずトータルの作業時間の目標を設定し、そこから時間配分を考えたうえで作業に取り組むことをおすすめします。
- 競合サイトにはすぐに名前が思い浮かぶ直接的な競合企業だけではなく、主要なキーワードで検索したときに上位に出てくるメディアのようなサイトも含めたほうが、より広くキーワードを収集できます。
すぐに実践するための課題
- 自分が担当しているサイトでキーワード調査をして、新しく作るコンテンツ案を5つ以上書き出してください。
- 同僚、とくに同じチームのメンバーにキーワード調査の方法を見せ、仕組みや考え方を共有してください。
理解を深めるための質問
- 洗い出したキーワードをもとにコンテンツを作るときに、どれくらいの数のキーワードを1つの記事にまとめるかをどう決めればよいでしょうか。たとえば2,000文字ずつで5ページ作るのと、10,000文字で1ページ作るのはどう選択するべきでしょうか。それぞれに適した状況を考えてください。