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SEOの必要性共有や集客シミュレーションで予算の承認を得る方法

この記事で学べることと対象読者

デジタルマーケターやWeb担当者が、SEOの必要性を周囲の人に説明できる材料を提供して、社内で推進するための手助けをすることが目的の記事です。コンテンツマーケティング、オウンドメディア運用を開始する前に、費用対効果について説明を求められることは多いかと思います。上層部にきちんと効果がでるまでの期間や必要な投資金額について説明できていなければ、途中で数字の伸びが小さいことの指摘を受けて中止することになりかねません。

なお、予算をかけるかどうかはともかくとして、SEOを意識せずにサイトを運営するのは大きな機会損失につながります。この記事では、すべての企業がSEOを意識してサイトを作るべき理由を説明しています。
SEOの予算を確保したい、取り組みへの社内承認を得るためにご活用ください。

なぜSEOが必要なのか

やらないと機会損失が発生するため

SEOを推薦する一番大きな理由はこれです。基本的なSEOができていないために、本来は獲得できていたはずのアクセスを捨ててしまっているサイトは大量にあります。極端な例ですが、最初に1,500~2,000円くらいのSEOの本を1冊買ってきて、そのとおりに仕様を決めておけば、数千万円から数億円利益が変わったであろうサイトは世の中にいくつもあるわけです。運営がはじまってから仕様を変更しようとしても、大きな工数、費用がかかってしまうのでそのままになってしまうことがあります。

適切にSEOの基礎を抑えていれば、コンテンツの価値を正常に伝えることができ、検索エンジン、ユーザー、自社のすべてにとってプラスになっていたはずのものが、設定が間違っているために見つけてもらえなくなるのは機会損失です。

ほとんどの企業は高額な費用を払って、多くの人が知らない高度なノウハウを知る必要はありません。高度なコンサルティングが必要なのは、ごく一部のアクセスやページ数などの規模が大きなサイトだけです。99%以上のサイトは、無料で一般に公開されている基本を徹底するための運用ルールを組織に定着させるので十分です。

逆にいうと、もうすでにSEOがほぼできている会社も多いです。そういった会社はどうやってコンテンツの力を高めていくかが焦点となります。

何もSEOに関する取り組みをしないのは非常にもったいないですので、社内で誰か1人は、いまご覧いただいているこのサイトにあるような無料で公開されている記事を読み込み、ノウハウ化して社内で共有できるようにしておきましょう。

オウンドメディアSEOマニュアル 集客を成功させる15の方法

広告のクリック単価が上がってしまう可能性があるため

サーチ、SNS、ディスプレイなど、広告にはいろいろな種類がありますが、いずれもクリック単価が上がっていってしまう可能性があります。クリック単価が上がると、結果として獲得単価(CPA)も上がってしまいます。

特にサーチ広告は過去単価が上がり続けています。もちろん新しいキーワードを発見するなど単価を抑えるための取り組みもできますが、出稿する企業が増えるほど単価が上がってしまう傾向は避けられません。

誤解していただきたくないので補足すると、これは広告をやめてSEOだけに注力したほうがいいという話ではありません。両方を併用したほうがよいです。

広告もSEOもさまざまなチャネルのうちの1つでしかなく、特定のチャネルに依存しないように複数の採算のあう集客経路を確保することは、すべての企業に必要なことです。

長期で見ると広告よりも費用対効果が良いため

広告は費用対効果が上がり続けることはほぼなく、改善できても限界があります。一方でSEOは、期間を長く考えられるのであれば、費用対効果が高くなり続けるコンテンツも存在します。

アルゴリズムの変動に左右されないような本質的に価値のあるコンテンツを作ることができれば、それは資産となって長期間の集客し続けることになり、結果として費用対効果が高まり続けます。

また、継続的に情報発信し続けることでリンクやサイテーションを獲得し、ドメインの価値が上がります。それによって新しく作ったコンテンツもSEOで有利になり、少しずつ上位表示を達成する難易度が下がっていきます。つまりドメインは大きな資産になります。

SEOでしかリーチ(接触)できない層がいるため

検索エンジンで探して見つけたECサイトをいくつか見比べて、すぐ何かを購入したことがある人は多いのではないでしょうか。また、調べ物の内容によっては広告はクリックしないときもあるでしょう。

何か買う、問い合わせするなどの目的を達成するために、検索エンジンだけで意思決定してしまう人、かつ広告をクリックしない人たちはキーワードによって比率は違うもののある程度はいますので、SEOに取り組まないと機会損失が発生してしまいます。

SEOに取り組むことを社内に説明するための材料

社内でSEOに否定的な考え方を持っている人がいる、費用対効果などを証明できない、などなかなかSEOの実施に踏み切れないときに社内に説明するにはどうしたらいいかをご紹介します。

SEOに対する正しい知識を伝えて、怪しいものだという不安を払拭する

昔からWeb業界に関与している人の中には、過去に間違ったSEOの施策をしてアクセスや売上を減らすような失敗をした、不誠実な事業者に外注してしまい痛い経験をしたなど、SEOは怪しいものであるとマイナスのイメージを持っている人がいます。

導入に不安を抱えている方を説得するには、正しい知識を知ってもらうのがよいでしょう。Googleの公開しているドキュメントなど、信頼性の高いものを使って説明してみてください。

検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド – Search Console ヘルプ

初心者向けスタートガイド – Search Console ヘルプ

上級ユーザー向けスタートガイド – Search Console ヘルプ

外注費をかけずに始めることもできる

SEOは費用をそれほどかけずに始めることができます。厳密にいえば、作業者の人件費はかかりますが、専門の会社に外注して高額な費用を払う必要はありません。時間はかかりますが、社内メンバーの誰かを担当として決めて継続的に取り組むだけでも結果は出せます。

ある程度進めてから必要に応じてコンサルティングやコンテンツ制作を一部手伝ってもらう流れをおすすめします。何もわからない状態でいきなり外注してしまうと、上手くいかないことが多いです。もしスピードアップのために最初から外注するとしても、社内に担当者を置いて外注先と一緒に取り組むようにしましょう。SEOでもっとも重要な要素は、伝える情報を選ぶことです。あなたの会社にある独自の情報、強みや特徴などを十分に把握していないと判断できませんので、外注先だけですぐにどうにかなるものではありません。また、パートナーに任せっきりにすると、社内にノウハウが蓄積されていかないという問題もあります。

SEOと一口にいっても、内部構造の見直し、キーワード調査、コンテンツ企画、執筆など、その範囲は多岐にわたります。どこが足りていないのかを把握してから適切なパートナーを探すことが大切です。

他社の成功事例を見せる

競合他社や、似たビジネスモデルの会社がどれくらい集客できているかのデータも説明する材料として使えます。現時点でのデータだけではなく、過去の順位推移や想定アクセスの推移もあるとよりわかりやすいでしょう。

Ahrefs(エイチレフス)、SEMrush(エスイーエムラッシュ)、Niel Patel(ニールパテル)など、それほど高くない金額感(数千円~3万円程度)で競合が上位表示しているキーワードとページの一覧を調べられるツールはいくつもあります。

これらのツールでは他社の自然検索流入の想定のグラフを出してくれますから比較するのに便利です。

自分の作業工数の範囲だけで小さく始めて、成果のデータを揃える

空いた時間でSEOに取り組んでみて、小さな成果のデータを本格的に取り組むための説得材料として使うのはおすすめの方法です。

たとえば、まず月1記事でも有志が業務中のスキマ時間を使って投稿してみます。その結果として出てきた複数のキーワードの順位推移、サーチコンソールでの検索パフォーマンスにある合計クリック数、合計表示回数、平均CTR、平均掲載順位データなどの推移データを用いて、施策を試した結果が出ていることを証明しましょう。

取り組みによってアクセスや売上が増える兆しが見えていれば、予算を獲得しやすくなるでしょう。

費用対効果をシミュレーションする(でも見込みはあたらない前提で考える)

対象にするキーワードのリストと、それぞれの月間検索回数のデータ、上位表示を達成する確率や上位表示されたときの検索結果でのクリック率などの推測値を元に、増加するアクセス数の見込みを算出します。

月間検索回数はGoogleのキーワードプランナーというツールで閲覧できますが、以下のサイトも便利です。

Ubersuggest

上位表示を達成する確率や上位表示されたときのクリック率はざっくりと仮定するしかないです。たとえば、上位表示を達成する確率は、狙うキーワードのうち10-6位に入るのは5%、5-2位は3%は、1位は1%といったように仮で設定します。上位への入りやすさはドメインの強さに大きく影響を受けますので、確率は状況にあわせて調整してください。もしあなたが誰でも名前を知っている歴史ある大企業に勤務していて、会社のco.jpドメインのなかでページを作れるなら比較的に上位にさせやすいのでこの数値例よりも強気に設定できることもあるでしょう。一方で、これから新規に取得するドメインでサイトを立ち上げた場合、上位にする難易度は跳ね上がりますので、上記の数字は非現実的かもしれません。

同様にそれぞれの順位での検索結果のクリック率も仮で決めます。検索結果でのクリック率は以下のような調査がいくつかの会社から出されています。リンク先のグラフをご覧いただきたいのですが、こちらの企業によると、Googleで上位になったときのクリック率は、1位31.7%、2位24.71%、3位18.66%です。

We Analyzed 5 Million Google Search Results. Here’s What We Learned About Organic CTR

検索語句によってまったくクリック率は違うので、あくまでも目安でしかありません。たとえば、リスティング広告が自然検索よりも上に出ている検索語句や、地図が先に表示されている検索語句などは、1位になったとしても31.7%はクリックされないでしょう。1位でも10%程度しかクリックされないこともよくあります。

多くのキーワードで共通して言えることは、

  • 自社サイトが1位になったとしてもクリックしてくれない人のほうが多い(社名や商品名やサービス名などを指定して検索する「指名検索」はクリックする人のほうが多い場合ももちろんあります)
  • 順位が落ちるほど1位変動することによる差が小さくなる(1位と2位のクリック率の差は2位と3位の差よりも大きい)
  • 9位よりも10位のほうがクリック率は高い(10位をピンポイントに狙うのはできないので行動には活かせない情報です)

ことくらいでしょうか。

基本的に集客のシミュレーションはまったく当たりませんので注意してください。理由は以下の通りです。

  • 検索エンジンのアルゴリズムがいつどう変わるかはわからない。万が一いまのアルゴリズムを完璧に解析して正確なシミュレーションできたとしても(不可能ですが)、明日には違うものになっているかもしれない
  • 順位は他のサイトとの比較で決まるので、ほかのサイトがどのようなコンテンツ追加やサイトの改善をしてくるかわからない以上、予測できるはずがない
  • SEOではロングテールキーワードが中心になるため、想定していなかったキーワードでの流入がかなり多く発生する。(ロングテールキーワードは月間検索回数が少ないニッチなキーワードのことで、通常2~4単語程度を組み合わせた検索語句です。例:「ケーキ レシピ 簡単」 詳細は「ロングテール」とはどういう理論?今さら聞けない基本から徹底解説を参照してください。)

SEOの経験をどんなに積んでもシミュレーションが当たることはないでしょう。ただ、予算を獲得するためにどうしても見込みのアクセス数やコンバージョン数のシミュレーションを求められることはあるかと思います。

当たらないので、安全のためにかなり保守的な数字でアクセス数の見込みを作ることをおすすめします。プロジェクトの承認を得る、もしくは予算の稟議を通すために強気の数字を作って、開始後にあまりにも予測と実際の数字が乖離すると、社内で横槍が入って継続できなくなってしまうかもしれません。

保守的に見積もりするとシミュレーション結果の数字があまりにも小さくなってしまい、社内で説明できないと感じるかもしれません。その場合には、上位に表示され続ける期間を長く見積もって、長期で考えれば採算があうかもしれないと説明することで、ある程度数字を増やせます。短期間で費用対効果を見るのであれば、たいていほかの施策のほうがよい結果になってしまいますのでSEOは採用されません。逆に言うと、最低でも1年、余裕を見るなら2~3年は継続して取り組む前提で考えておくことをおすすめします。

SEOとほかの集客方法を比較して実施を決める

この記事では、SEOを開始するために社内にどう説明すればよいかをご紹介しました。SEOの必要性を社内に周知する方法について困っている皆さんの参考になればうれしいです。

SEOはすべてのサイトで実施したほうがよいのですが、どれくらい注力するか、工数や費用をかけてやるかは、ほかの方法と比べて検討することが大切です。SEOありきで考えるのではなく、リスティング広告などの広告や、ソーシャルメディアの運用など、ほかの方法もあわせて検討し、あなたの会社にとって適したものを組み合わせて実施することが大切です。

サイトエンジン編集部

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