SNSマーケティングとは具体的にどのような手法なのでしょうか。5種類の導入方法を紹介します。SNSマーケティングを導入することのメリットや、効率的に運用するコツも知っておきましょう。炎上のリスクについてどのように考えればよいのかも解説しています。
SNSマーケティングとは何か
SNSマーケティングとは、SNSを利用することで商品やサービスを普及させ、売上を安定させるマーケティング手法です。
SNSによって情報を拡散させるだけでなく、SNSによって情報収集することで市場調査をすることも、SNSマーケティングに含まれます。
SNSマーケティングは、商品やサービスの種類を問わず、さまざまな分野で活用されている手法です。近年のデジタルマーケティングにおいて、とても重要な位置を占めています。
SNSマーケティングの重要性・メリット
マーケティングにSNSを利用することは、なぜ重要なのでしょうか。導入することで、どのような効果が見込めるのかを解説します。

企業がSNSマーケティングをする必要性が高まっている
以前はSNSといえば「個人が楽しむもの」というイメージがありましたが、最近では、企業のデジタルマーケティングにおいても、SNSは欠かせない存在になりつつあります。
デジタルマーケティングというと、かつては「SEO」や「リスティング広告」に頼る企業が多くありましたが、今ではSNSマーケティングに重点を置く企業が増えているのです。
リスティング広告よりも低コストで運用できることが多く、強力な集客力にもつながるSNSは、これからの企業のマーケティングに必須の存在だといえます。
SNSを「検索ツール」として使うユーザーが増えている
SNSマーケティングが重要な理由として、「SNSで調べものをするユーザー」が増えていることも挙げられます。
かつては調べものといえば「Google」や「Yahoo!」などの検索エンジンが主流でしたが、今ではSNSを検索して、口コミ情報などを調べる人が増えているのです。
SEOばかりにコストを割いて、検索エンジンだけに頼っていると、アルゴリズムの変更によって検索結果の表示順位が変わり、「突然、売上が大きく減少する」ということが起こりえます。
検索エンジンだけに頼らず、SNSマーケティングを併用することで、もしもアルゴリズム変更があった場合にその影響を小さくできるというメリットもあるのです。
口コミの影響力を利用できる
SNSユーザーの投稿した写真や、口コミなどによって、商品やサービスの情報を「発信してもらう」ことは、効果的なマーケティング手法です。
SNSでは、ユーザーの一人ひとりが情報発信できます。商品・サービスに満足しているユーザーが「情報発信元となり、自ら進んで他の人におすすめしてくれる」という状態が起こりやすいのです。
企業からの広告や営業マンにおすすめされるよりも、実際に購入して利用したユーザーからおすすめされる方が、説得力があります。実際、SNSの口コミなどを見て商品の購入を決定するユーザーも多く存在するのです。
SNSを有効利用することで、影響力のある営業マンが自然発生するような状態になり、売上アップや安定化につながることが期待できます。
SNSマーケティングの具体的な方法5選
SNSマーケティングというと、「公式アカウントを作って投稿すればいい」というイメージかもしれません。しかしSNSマーケティングの方法は、それだけではありません。具体的な5つの方法を紹介します。
公式アカウントに投稿する
まずは公式アカウントを立ち上げ、「シェアされやすい投稿をする」のがSNSマーケティングの基本です。
投稿内容を見たユーザーが、他のユーザーにそれを「シェア」して情報が拡散することで、自社の商品・サービスやブランドについて多くの人に知ってもらうことができます。
例えばオウンドメディアで公開している記事についての投稿をシェアしてもらうことができれば、その記事が多くの人の目に留まることになるのです。
シェアされやすい投稿をするためのポイントは「共感」です。SNSでは、共感を得られる投稿が、シェアされやすい傾向にあります。
多くのユーザーに共感されるような投稿内容を考え、定期的に投稿していくことがSNSマーケティングの重要なポイントなのです。
【ライター注:「共感ライティングとは」の記事への内部リンクを張ってもいいかもしれません】
ユーザーと交流する
SNSマーケティングでは、ただ情報を発信するだけでなく、他のユーザーと「交流」をすることも重要です。
商品やサービスについて投稿してくれたユーザーをフォローしたり、「いいね」や「リツイート」などの反応をしたりなどの方法で交流します。
企業の公式アカウントから反応を受けることは、ユーザーにとっては少しインパクトのある経験です。商品や企業に対する親近感を高めることにもなるでしょう。
そのユーザーがリピーターになってくれたり、さらに口コミしてくれたりなどの行動を促すことも期待できるのです。
インフルエンサーとコラボする

SNSで活躍する「インフルエンサー」と呼ばれるユーザーに協力してもらうこともできます。この手法は「インフルエンサー・マーケティング」とも呼ばれます。
インフルエンサーは、多くのフォロワーがいて、ユーザーからの信頼もあり、影響力のある存在です。インフルエンサーの協力を得ることで、大きな宣伝効果が期待できます。
コラボ方法としてよく使われるのが「商品ギフティング」です。インフルエンサーに商品を無料提供して、SNSに感想などを投稿してもらいます。商品ではなく「サービス」を体験してもらうことも可能です。
インフルエンサーにコンサルティングを依頼して、「人気インスタグラマー○○さん監修」などのキャッチコピーで訴求力を高めるというコラボ方法もあります。
コラボするインフルエンサーは、フォロワーが多ければ多いほどよいとは限りません。フォロワーが10万人に満たない「マイクロインフルエンサー」や、1万人に満たない「ライトインフルエンサー」も注目されています。
フォロワーが100万人以上の「メガインフルエンサー」と呼ばれる人は、有名すぎてフォロワーとの距離が遠くなる傾向があり、必ずしも影響力が強いとは限りません。
一方でマイクロインフルエンサーなどの小規模なインフルエンサーは、親近感を持たれやすく、その分フォロワーに対する影響力も強くなるとされています。
フォロワーの数の多さではなく、「影響力の強さ」を基準にして、コラボするインフルエンサーを選ぶことが重要です。
SNSキャンペーンを開催する
SNSを利用して「キャンペーン企画」を開催することも、マーケティング手法としてよく用いられます。
一般的なのは「ハッシュタグ」を利用するキャンペーンです。「特定のハッシュタグ」を付けて投稿をした人に、抽選でプレゼントを贈呈するなどのキャンペーンが、多くの企業によって開催されています。
「おたより募集キャンペーン」のような形式で、特定のハッシュタグを付けて「お題」のエピソードを投稿すると、優秀な投稿がメディアに掲載されるなどのキャンペーンもあります。
多くのキャンペーンの狙いは、ユーザーが商品やサービスのことを投稿するように促すことです。できるだけ多くのユーザーに投稿してもらうことで、情報を拡散し、自社サービスの認知度を高めるなどの狙いがあります。
アイデア次第で、いろいろなキャンペーン企画が考えられるでしょう。
マーケット分析のツールとして使う
情報を広めるだけがSNSマーケティングではありません。「SNSを使ってマーケット分析をする」という使い方もあります。これは「ソーシャル・リスニング」と呼ばれる手法です。
SNS上の投稿には、ユーザーの感じていることやニーズなどに関する情報があふれています。アンケートによって情報を集めるよりも、リアルな情報が得られるのも魅力です。
ユーザーが自社商品についてどのような投稿をしているのかを調査して、商品の改善点を分析したり、新しいサービスのヒントにしたりなど、SNSを分析する目的やデータの活用方法はさまざまです。
目的を決めてSNS上を検索することで、必要な情報を効率的に得やすくなります。
参照:ソーシャルリスニングをマーケティングで活用する!やり方と無料ツール
マーケティングで使われるSNSの種類と特性
多くの企業がマーケティングで使用している4つのSNSについて、それぞれの特徴と、具体的な活用方法を解説します。
Twitter(ツイッター)はユーザー数が多く、多くの企業がマーケティングに導入しているSNSです。2017年10月時点での国内利用者数は4,500万人。
「リツイート」「いいね」「フォロー」などの機能が気軽に使えるので、ユーザー同士が交流するためのハードルが低く、情報の「拡散力が高い」という特徴があります。
その分、後述する「炎上」のリスクが高いので、投稿内容には特に注意が必要ですが、賢く利用することで口コミなどの情報を効率的に拡散できるSNSです。
Instagram(インスタグラム)は、近年ユーザー数が伸びているSNSです。2019年3月時点での国内利用者数は、3,300万人以上。マーケティングにおいても多くの企業が利用しています。
文字情報ではなく「写真」や「動画」などの視覚情報をメインに投稿するのが特徴。画像に付属する「キャプション」や「ハッシュタグ」を利用することで、さまざまなメッセージを発信できるSNSです。
企業が利用する場合は「ビジネスプロフィール」という機能を利用します。ビジネスプロフィールに切り替えることで、メールアドレスや電話番号などの「連絡先」を掲載したり、閲覧数などを分析できる「インサイト」を利用したりなど、企業にとって便利な機能が利用できるようになるシステムです。
Twitterの「リツイート」のような形での拡散機能はありませんが、ハッシュタグをうまく利用し、目を引く写真などによってユーザーの興味を引くことで、マーケティングに有効利用できます。
また「インスタグラマー」と呼ばれるインフルエンサーを利用したマーケティングにも適しているSNSです。
LINE
LINE(ライン)は、メッセージングアプリとして普及したことで、国内のユーザー数がトップのSNSとして知られています。2020年10月の時点での国内利用者数は、8,600万人以上です。
企業が利用する場合は、「LINE公式アカウント」を作り、そこから情報発信を行います。
LINEは基本的に、知り合い同士だけでつながっている「クローズ型」のSNSです。そのため各ユーザーの投稿内容を調べることが難しく、マーケティング分析をする「ソーシャル・リスニング」には不向きだといえます。
とはいえ、口コミの影響力を利用するという点では、強力なツールです。クローズ型のSNSは、ユーザー同士のつながりが密接になる傾向があるため、その中での口コミが強い影響力を持つというメリットがあります。
Facebook(フェイスブック)は、実名で登録するSNSとして有名です。2019年7月の時点での国内利用者数は、約2,600万人。日本では利用者が少ないイメージがありますが、世界的には利用者数トップのSNSです。
企業が利用する場合は、個人用のアカウントとは別に「Facebookページ」というビジネス用のアカウントを作成できます。
Facebookを利用したマーケティングでは、「Facebook広告」を活用する手法がよく用いられます。Facebook広告とは、Facebook上の「ニュースフィード」や「ストーリーズ」などに表示される広告です。
ユーザーが実名で登録し、学歴や職業などの詳しい情報を公開しているという特徴から、特定のターゲットに対して精度の高い広告を配信しやすいのがメリットです。Instagramへの同時配信もできます。
SNSマーケティングのコツ
SNSマーケティングを進める上での基本的なコツを解説します。どのSNSを導入するとしても当てはまる基本的なポイントです。

自社サービスに合ったSNSと手法を選ぶ
まずは「どのSNSを導入するのか」を慎重に決めましょう。すべてのSNSを導入するという方法もありますが、自社のサービス内容やターゲットに合ったSNSに絞った方が、コストを低く抑えられるでしょう。
例えば「Twitter」は10~20歳代の若い世代のユーザーが多く、「Facebook」は30~40歳代のユーザーが多い傾向にあります。自社のターゲットとなる年代が多いSNSを選ぶというのも一つの考え方です。
サービス内容によっては、テキストがメインのSNSよりも、写真がメインの「Instagram」が適しているかもしれません。
それぞれのSNSの特性を理解して、自社に合ったSNSを選ぶようにしましょう。
SNSの運用体制を構築する
企業のSNSマーケティングでは、マニュアルを作成するなど、SNSの運用体制をシステム化することも重要です。
マニュアルが無いと、複数名で運用した場合に、投稿内容などにブレが発生し、アカウントのイメージが統一できなくなってしまいます。
SNSの運用目的や、ターゲットとするペルソナ、投稿の内容などについてマニュアル化し、運用体制を構築することが重要です。
SNSマーケティングのデメリットと注意点
SNSマーケティングは多くのメリットがありますが、デメリットが無いわけではありません。それは「炎上のリスクがある」ということです。炎上に対応するための注意点を解説します。

炎上しないように注意する
まずは「炎上するような投稿」をしないことが前提です。
炎上とは、SNS上で批判や非難のコメントが大量に発生している状態です。批判や非難の原因となるようなことを投稿しないように「チェック体制」を整えておくなど、対策を十分に行いましょう。
炎上しやすい投稿の特徴を知っておくことも重要です。特に「特定の人やグループに不快感を与える投稿」が、炎上の原因になります。
誰かを意図的に批判する投稿をしないことはもちろん、そんなつもりはなくても「配慮が欠けていたせいで」誰かを傷つけてしまうことがないように気を付けましょう。
またSNS上の投稿とは関係なく、現実に批判の対象となることを起こしてしまうと、炎上の原因になる場合があります。SNS上だけでなく、現実においても炎上の原因を作らないことが前提です。
炎上した場合の対策も考えておく
どんなに気を付けていても、炎上のリスクがゼロになるとは言い切れないのがSNSです。炎上が発生した場合には、収束させるための「鎮火対応」が必要になります。
企業のSNSにおいては、炎上した場合の対応方法をマニュアル化し、備えておくことも必要です。
会社側に非があれば丁寧に謝罪し、非が無い部分についてはしっかり弁明するなど、対処方法をしっかりと決めておきましょう。
まとめ
SNSマーケティングは、今の時代の流れに合った手法だといえます。検索エンジンや、リスティング広告に頼らないSNSマーケティングは、売上を拡大し、安定させるために重要な要素です。
とはいえ、SEOやリスティング広告の意味が無くなったわけではありません。予算に応じて複数のマーケティング施策を併用することで、相乗効果が期待できます。
自社のサービス内容や目標設定に合ったSNSマーケティングを導入し、事業の成功を目指していきましょう。