マーケティング施策としてソーシャルグッドコンテンツを導入するには、具体的にどのように取り組めばよいのでしょうか。その定義と、導入するメリット、コンテンツの作り方を確認しましょう。具体的にどのようなコンテンツのことを指すのか、3つの事例を紹介しているので参考にしてください。
ソーシャルグッドコンテンツとは

ソーシャルグッドコンテンツ(Social Good Contents)とは、「社会=ソーシャル」に対して良い影響を与える活動のことです。「ソーシャルグッド」と呼ぶ場合もあります。
企業やビジネスとは関係なく発信される社会貢献のコンテンツも含まれていますが、企業にとってのソーシャルグッドコンテンツとは、「CSR」「SDGs」「社会貢献になる商品・サービス」などが該当します。
CSRとは?
ソーシャルグッドコンテンツの一例として挙げられるのは「CSR」です。
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、「企業の社会的責任」と訳されます。企業が環境や社会貢献、法律の順守などを徹底するために取り組むべき活動のことです。
企業が利益だけを追求することは、環境や社会への悪影響になる場合があり、実際に環境破壊や不正行為などに発展する事件が増えたことから、CSRが注目されるようになりました。
環境保護や、法律の順守、社員の働きやすさにつながる取り組みなど、直接的な利益につながらなくても社会に良い影響を与える取り組みがCSRに該当します。
SDGsとは?
ソーシャルグッドにはSDGs(エスディージーズ)も含まれています。
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の頭文字を取った言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年に開催されたサミットで決定された、世界共通の「17の目標」のことです。
その目標には、貧困やエネルギー・環境問題だけでなく、ジェンダー平等、働きがいのある経済成長などが含まれ、幅広い範囲をカバーしています。
国際社会全体で取り組むべきものとして設定されているので、政府や自治体だけでなく、企業としても取り組む必要があるものです。日本の企業の中にも、SDGsの一環として、食品ロス対策や、リサイクル素材の推進、貧困地域への支援などに取り組んでいる事例が多くあります。
このような国際社会の流れに沿った取り組みも、ソーシャルグッドの一部です。
ソーシャルグッドコンテンツの重要性・メリット
ソーシャルグッドコンテンツの重要性や、導入するメリットについて解説します。
会社のイメージ・認知度の向上につながる
まず挙げられるのは「会社のイメージ・評判が向上する」という点です。
会社のイメージ・評判を高めることは、経営やマーケティングの多方面に影響を与えます。ブランド力を高めるだけでなく、有能な人材を集めやすくなったり、資金調達がしやすくなったり、炎上リスクに備えることになったりなど、さまざまなプラス効果が期待できるのです。
評判だけでなく「認知度」の向上にも、ソーシャルグッドコンテンツは一役買ってくれます。社会に貢献する取り組みを通じて、今まで知られていなかった顧客層に認知されるきっかけになる場合もあるでしょう。
ソーシャルグッドコンテンツは、直接的な利益につながらないとしても、間接的にはマーケティング上のプラス効果が期待できるのです。
社員・取引先の満足度を向上できる
社員や取引先との関係を向上し、スムーズな取引を促進するためにも、ソーシャルグッドコンテンツが役立ちます。
例えば取引先や仕入れ先の地域に良い影響を与えるような取り組みをすることで好印象となり、今後の取引での関係が強化されるでしょう。
社員に対しては、働きやすい労働環境を整えられるだけでなく、仕事を通じて社会貢献しているということ自体が、モチベーションを高める理由になり得ます。
ソーシャルグッドコンテンツは社会にとってプラスになるだけでなく、ビジネス上のメリットもあるのです。
ソーシャルグッドコンテンツの具体例
ソーシャルグッドな取り組みをしている企業やブランド、コンテンツの具体例を3つ紹介します。どのように見倣えるかを確認しましょう。
紙カップでプラスチックを削減「スターバックス」
スターバックスでは、プラスチック削減の取り組みとして、紙カップの導入を推進しています。
使用している紙カップの素材は、適正に管理された森林の木材を使っていることを示す「FSC認証」を受けたものです。
さらにアイスドリンクに使用されていたストローのプラスチックを削減するため、ストローを使わなくても飲めるフタも導入しています。
紙カップやストローは、購入者の目に見える形で印象に残りやすい部分です。顧客が実際に触る部分でソーシャルグッドな取り組みをすることで、認知されやすいコンテンツとなっている点が、見倣うべきポイントだといえます。
リサイクルナイロンを活用「k3」
ファッションブランドの「k3」(ケイスリー)では、環境保護や動物保護などに取り組む部門として「Sustainable k3」を立ち上げ、ソーシャルグッドを推奨しています。
Sustainable k3では、リサイクルナイロンを使用したストッキングや、レザーを一切使わず、廃材を抑えた工法を採用したブーツなど、環境にやさしいだけでなく、ファッションアイテムとしての使いやすさにもこだわったラインナップを展開しています。
環境に配慮した「商品」をリリースすることは、企業のソーシャルグッドコンテンツとして導入しやすい基本の手法です。
ソーシャルグッド事業部を立ち上げ「無印良品」
無印良品では、ソーシャルグッドコンテンツを充実させるために専門部署「ソーシャルグッド事業部」を立ち上げています。
その活動内容は、環境にやさしい食品などの「商品」の販売だけでなく、生産者とのつながりを意識した青果売り場のプロデュースや、公園の再生など多岐に渡ります。
専門部署として多くの人件費とコストを割くほどに、企業活動においてソーシャルグッドコンテンツが重視されていることが分かる事例です。
ソーシャルグッドコンテンツの作り方
では実際にソーシャルグッドコンテンツを作るには、具体的にどのように取り組めばよいのでしょうか。ここでは「CSR」を例に解説します。
「ISO26000」を活用する
CSR活動を始める際は、その国際規格である「ISO26000」を参考にできます。
ISO26000は「認証」を受けるための規格ではないので、記載されていることを参考にして自由に活用できる「ガイドライン」です。人権や環境への配慮、コミュニティの発展など、幅広いジャンルの活動について扱っています。
民間企業だけでなく、公共団体や非営利団体でも活用できる規格として、さまざまな「組織」が参考にできるものです。
まずはISO26000を参考にして、自社ではどのような取り組みができるのか、アイデアを練っていきましょう。
コンテンツ化する方法を検討する
ソーシャルグッドな活動に取り組むだけでなく、それを多くの人に知ってもらうことが重要です。取り組みをどのように「コンテンツ」にするかを計画しましょう。
例えばホームページ上でどのように公開できるか、TwitterやInstagram、YouTubeなどのソーシャルメディアをどのように活用できるかを検討します。
テレビCMや、会社案内などにCSRの取り組みについて掲載することもできるでしょう。
商品・サービスの方向性に合った方法で、取引先や顧客などコンテンツを届けたいターゲットのことも分析し、自社に合った方法を検討してください。
まとめ
ソーシャルグッドコンテンツは、社会に役立つだけでなく、企業活動をスムーズにし、ビジネスを成長させるためにも役立つ重要な存在です。ただし導入するには、ある程度のコストが必要です。ビジネス上の他の予算とのバランスを見ながら、自社に合ったソーシャルグッドコンテンツの導入を計画しましょう。