BtoBマーケティングを効率化するために、リードジェネレーションという考え方を知っておくことは重要です。その定義と、具体的な施策例を確認しましょう。導入するために必要なマーケティングオートメーションについても解説しています。
リードジェネレーションとは
リードジェネレーションとは、見込み顧客(リード)を獲得することです。
ゴールとなる「契約」「購入」につなげるための第一歩として、見込み顧客の情報を収集することを意味します。
メールアドレスや電話番号を収集するだけでなく、Webサイトの閲覧履歴データを集めることや、SNSのフォロワーを増やす活動も、見込み顧客を集めるリードジェネレーションです。
飛び込み営業によってコツコツ連絡先を集めるのではなく、インターネットを利用することで効率的に見込み顧客を集める手法が現在の主流となっています。
営業活動のゴールである「成約」につなげるためには、リードを集めるだけでなく、リードの興味・関心を育成する「リードナーチャリング」も必要です。さらに、見込み度の高さに応じて顧客を選別する「リードクオリフィケーション」を実施し、見込み度の高い顧客だけを優先対応することも求められます。
この3つを合わせた営業手法を「デマンドジェネレーション」と呼びます。特にBtoBマーケティングで重要な手法です。
リードジェネレーションの施策例
リードジェネレーションで用いられる施策の例を4つ紹介します。インターネットを使った方法だけでなく、オフラインによる施策についても確認しましょう。
オウンドメディア運営
自社のホームページやブログなどの「オウンドメディア」によって見込み顧客を集める手法は、リードジェネレーションの基本として多くの企業が導入しています。
オウンドメディアでは、商品やサービスを直接紹介するだけではなく、顧客にとって役立つ「コンテンツ」を公開する手法が主流です。これはコンテンツマーケティングと呼ばれる手法で、主に検索エンジンからのアクセスを狙います。
オウンドメディア上に資料請求や問い合わせページを設置することで、見込み顧客のメールアドレスを取得し、リードジェネレーションを実現します。
オウンドメディアのメリットは、一度公開すると長期的に効果を発揮することです。ただしオウンドメディア単体では、効果が出るまでに時間がかかるので、後述する広告やSNSなど他の施策を併用することが重要です。
広告配信
「インターネット広告」を配信することで、オウンドメディアやランディングページなどへ誘導し、リードを集めることができます。
インターネット広告の種類は、ディスプレイ広告、リスティング広告、SNS広告、動画広告など豊富にあり、自社の商品・サービスに適したものを選ぶことが重要です。
広告を利用するメリットは、短期間で多くのアクセスを集められるという点です。ただしアクセスが増えるのは広告を配信している期間だけであり、効果を持続させるには高いコストがかかるというデメリットがあります。
広告によってオウンドメディアへのアクセスを増加させることで、効率的にリードの連絡先を取得できます。
SNSマーケティング
SNSはリードジェネレーションに利用できる強力なツールです。
公式アカウントで発信したい情報を投稿するだけでなく、他のユーザーと交流したり、インフルエンサーとコラボしたりなど、いくつかの活用方法があります。SNSからオウンドメディアへ誘導し、アクセス数を増加させるために有効な施策です。
スマートフォンユーザーの中には、情報収集のために検索エンジンを使う機会が減り、代わりにSNSを利用している人が増加しています。BtoBマーケティングのキーパーソンとなる担当者も例外ではありません。
SNSを利用して集客する「SNSマーケティング」の重要性が高まっているといえるでしょう。
セミナー・展示会
セミナーや展示会では、企業の担当者に直接会って名刺交換し、対話することによって見込み顧客の情報を獲得できます。
WebサイトやSNSでは伝わりにくい情報を「発信」できる機会となり、見込み顧客のニーズや考え方などの貴重な情報を「得る」機会になるでしょう。
セミナーは他の施策と比べると参加するハードルが高いので、購入意欲の高い人が集まりやすいというメリットがあります。デメリットは、会場のレンタル料や運営スタッフのリソースなどのコストがかかるという点です。
Web会議システムを使ってセミナーを開催する「ウェビナー」という方法もあります。
ウェビナーなら新型コロナの時代でも開催しやすく、会場を借りる必要がないのでコストを低く抑えられます。参加者側にとっても、わざわざ出かける手間が省けて、遠方からも参加できる点がメリットです。選択肢の一つに入れておきましょう。
リードジェネレーションの注意点・コツ
リードジェネレーションを進める上での注意点や、成功させるコツについて、3つのポイントを解説します。
ゴールから必要なリード数を逆算する
リードを漠然と集めるのではなく、何件のリードを集めるのか、目標として「具体的な件数」を決めることが重要です。
目標のリード件数を求める計算には、営業活動のゴールとなる「契約件数」と、「コンバージョン率」を使います。
ここでいうコンバージョン率とは、リード100件のうち何件が最終的な契約につながるかを示す割合のことです。
「目標の契約件数÷コンバージョン率」を計算することで、必要なリード数が分かります。
コンバージョン率を知るためには、自社の保有する過去の売上データや、業界の一般的な数値を参考にできます。およそのコンバージョン率で目標を計算してからマーケティングをスタートし、実際のデータを集めながら軌道修正していくとよいでしょう。
契約件数ではなく最終的な「売上金額」をゴールとする場合は、「1契約あたりの平均売上金額」を基準にして、必要な契約件数を割り出すことができます。
以上のようにして具体的な目標リード件数を決めることで、どのような施策が必要なのかが明確になり、リードジェネレーションの計画がスムーズになります。
適度にターゲットを絞って獲得する
やみくもに多くのリードを集めようとするのではなく「ターゲティング」をして、できるだけ見込み度の高い顧客情報を集めるようにすることも重要です。
自社の商品・サービスがターゲットとするユーザー層を明確にして、そのユーザーを獲得しやすい施策を選ぶようにしましょう。ユーザーの年齢層や性別、生活エリア、興味・関心など、さまざまな指標を基準にして「セグメンテーション」を実施することで、自社が狙うターゲットを具体化できます。
ただしターゲットを絞り込みすぎて、リードの目標件数に達しないことは避けるべきです。適度なボリュームのあるターゲットを狙うようにしましょう。
個人情報を一度に獲得しようとしない
リードジェネレーションのコツは、個人情報を「少しずつ」取得することです。
資料請求や無料会員登録の入力フォームで、個人情報を大量に入力するように求めると、心理的なハードルが高くなります。単純に入力作業が大変で、途中でやめてしまう人も増えるでしょう。
例えば、資料請求フォームではメールアドレスだけを取得し、無料見積りでは住所や電話番号などの追加情報を取得するという方法で、段階的に取得することがポイントです。
集めたリードを管理する方法
リードジェネレーションによって獲得したリードの情報は通常、マーケティングオートメーション(MA)と呼ばれるツールによって管理します。
MAはリードの獲得から育成、管理に必要な施策の多くを自動化できる便利なツールです。
ネット広告などリードジェネレーションの施策を一元管理できるだけでなく、リードナーチャリングのためのメール配信や、リードクオリフィケーションのためのスコアリングなどを自動化し、一元管理する機能があります。
リードの情報をネット上で管理できる「クラウド型」のMAが多くあるので、スタッフ全員のPC上にデータを保存する必要がなく、連携や共有がしやすいツールです。
Webサイトにタグを埋め込むなどの簡単な作業で導入できるMAが多くあります。自社のビジネスにあったMAツールを探して、料金を比較しながら導入を検討しましょう。
まとめ
リードジェネレーションは、デジタルマーケティングの基本である「デマンドジェネレーション」の最初のステップです。やみくもにリードを獲得するのではなく、市場のセグメンテーションとターゲティングを実行し、質の高いリードを獲得していきましょう。活用できる施策はいくつかありますが、ターゲットとするユーザー層に合ったものを選ぶことが重要です。