法律系の記事は、弁護士や司法書士などの士業資格者がアドバイスを述べる体裁になることが多く、格別の注意が必要になります。
他のハウツー記事と比べると圧倒的に情報量が多く、ライター側に深い配慮が求められるため、気難しく感じてしまうでしょう。
ここでは、法律系記事を執筆するうえでの注意点を解説します。

法律系記事の受注先

法律系の記事を執筆する案件は、おもに次のようなクライアントから受注できます。

・法律事務所、弁護士事務所
・司法書士事務所
・行政書士事務所
・税理士事務所
・特許事務所
・パラリーガルが運営するサイト

ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトでの募集もありますが、公開されている案件はあまり多くありません。
これは、士業の資格者や経験者が指導・監修しながら作業を進めるため、自社でアルバイトを雇用してライティングに従事させるといった対応が多いからです。
フルリモートでの案件は少ないため、募集を見つけたら早めに応募するべきでしょう。

法律系記事の単価・相場

法律系の記事における単価は、他の分野・テーマの案件と比べると高めです。
クラウドソーシングサイトでは1.5~2円、事務所直の案件なら3円以上の案件もあります。
まれにクラウドソーシングサイトで1文字あたり1円を切る法律系記事の募集を見かけますが、執筆にかかる時間を考慮すれば適正価格とは言えないでしょう。

高額案件では、応募の条件が「現役の士業資格者」や「士業の経験者」であることが多いため、募集資格を満たさないケースがあります。
ただし、過去に執筆経験があれば募集資格を満たしていない場合でも採用されることがあるので、提示できる実績があれば心強いでしょう。

法律系ライターが気をつけたい4つの注意点

法律系記事を執筆するライターとして気をつけたい4つの注意点を紹介します。

(1)情報の正確性を高める

法律系記事は、何らかのトラブルに対して困っている読者がアクセスするものが大半です。
記載した情報に誤りがあると、読者が誤った情報をもとに行動を起こし、人生の選択を誤るおそれがあります。
「最終的には弁護士、行政書士、司法書士などの有資格者がリーガルチェックをしてくれる」と思っているライターの方が多いかもしれませんが、時間的な余裕がないため執筆を外注しているので、徹底したリーガルチェックも実はあまり期待できません。
誤った情報をもとに執筆し、そのまま掲載されてしまうことも珍しくないのです。
ウェブサイトを参考に執筆する場合は、必ず複数のサイトを参照して情報の正確性を高める必要があります。
もし複数のサイトを参照して情報にブレがある場合は、法律の条文や公的機関が公開している逐条解説などの一次情報に基づいて執筆しましょう。

また、実際に法律系記事を執筆していると、断定した表現を避けたほうが賢明な場面が多くあります。
断定が難しい場合は、必要に応じて「~というケースもある」などの濁しも必要です。

(2)法的根拠や改正に注意

法律系記事の記述には、ほぼ必ずと言っていいほど「法的根拠」が存在します。
なぜこのような対応が可能なのか、なぜこの手続きが必要なのかなどには、できる限り法的根拠の提示を添えましょう。

また、法律は改正されることがあります。
たとえば、民法は令和2年に120年ぶりの大改正が施行するため、大いに注目されています。
一方で、道路交通法は平成27年に自転車の通行方法が変更され、令和元年12月には「ながらスマホ」が厳罰化されるなど、改正が多いことで有名です。
法改正の情報は、関係省庁が公開している広報資料などで確認できるため、各省庁や機関が公開しているウェブサイトなどの一次情報を参照しましょう。

判例を引用する場合も多くありますが、新たな法理が登場している場合もあります。
ニュースサイトなどで「~の判決」といった見出しの記事があれば広く目を通すように心がけましょう。
情報をアップデートすることで、より正確な記事が完成します。

(3)コピペ率が上がりやすい

法律系記事では、条文や判例を引用する場面が多くなります。
「不法領得の意思」や「婚姻を継続し難い重大な事由」といった連語のように、省略できない定型的な表現が登場することも多いため、コピペ率が上がりやすい傾向があります。
「こんなケースが該当します」といった事例の提示でも、条文や判例に従った表現を使うため、参照元と似通ったものになりがちです。

不要な接続詞の使用を避ける、一文の長さを短くするなど、文章をコンパクトにすればコピペ率の上昇が抑えられるでしょう。
ただし「どうしてもコピペ率が下がらない」といったケースでも、定型的な表現の言い回しを変えるのは避けましょう。
言い回しを変更すると意味が変わってしまうことがあります。
複数の参照サイトが共通して使用している定型的な表現は、できるだけ崩さないほうが安全です。

また、法律系記事は総じて「漢字が多い」傾向があります。
ウェブコンテンツの閲覧数や停滞時間は読みやすさが大きく影響するため「行う→おこなう」「頂く→いただく」といった漢字のひらきを意識すると良いでしょう。
一次情報のサイトは漢字表現が多いため、このテクニックもコピペ率の低下に有効です。

(4)文章に威厳性を持たせる

法律系記事では、文章に威厳性を持たせる必要があります。
丁寧な言葉づかいやトンマナだけを守っていれば良いわけではありません。
ある弁護士事務所のウェブ部門担当者から聞いた話ですが、士業の有資格者は「過度にへりくだった表現」を嫌うそうです。
たとえば「ご紹介させていただきます」などのような表現は、非常にへりくだった表現であり、依頼をもとに案件を受任する立場の士業有資格者とは、基本的なスタンスが異なります。

過度にへりくだった表現は避けながら、要所で心強い言い切りも混ぜていくと威厳性が高まるでしょう。

まとめ

法律系記事は、士業資格者が読者に対して法律の知識をわかりやすく説明する体裁の案件です。
読者は「弁護士が言っている」「税理士が説明している」と信じて閲覧するため、正確で威厳の高い文章が執筆できるように心がけましょう。

また、法律系の記事はライティングで高収入を狙うチャンスでもあります。
必ずしも現役の士業資格や法律関係の経験が必要なわけではありません。未経験からでもチャレンジする価値は十分にあります。
未経験からのチャレンジであれば、わかりやすく正確な手引となる書籍などを傍らに執筆すると良いでしょう。
弁護士監修で幅広い法律知識をわかりやすく紹介している書籍も数多く刊行されているので、まずは抵抗なく理解できる内容のものがおすすめです。
他サイトの情報のみに頼ったライティングでは、誤った情報を転載して不正確な情報が蔓延してしまう危険があることに注意しましょう。

ライティングだけでなくインタビューもできると、ライターとして受注できる仕事は格段に増えます。とはいえ、メディア業界での経験が無い新人ライターにとっては、ノウハウが得にくく、参入しにくい領域でもあります。この記事では、インタビューの流れと、それに携わる上で必要な知識やコツについてまとめました。

アポイントメントの取り方

インタビュイーにコンタクトする段階からライターに任される案件も、結構あります。その場合は、取材対象が企業関係者であるか、または個人であるかによって、アポの取り方が変わってきます。

企業やその社員にインタビューを申し込む場合

会社の広報担当者を通すと、断然スムーズです。その企業の公式サイトにアクセスし、「企業概要」等のページから代表番号を調べて電話をかけ、広報の部署へつないでもらいましょう。そして取材依頼の旨を告げると「詳細をメールしてください」と言われることが多いので、相手の名前とメールアドレスを聞きます。この際、相手の部署・名前をしっかり聞いておくと、そのあと返信がくる可能性が高くなります。

個人にインタビューを申し込む場合

最近はたいていの方が、SNSのアカウントを持っていたりメールアドレスを公開していたりするので、コンタクトは割と容易です。SNSの場合はできるだけ簡潔に、1)インタビューをお願いしたいという旨、2)トピックが何かということ、3)こちらの連絡先、を書いて送信し、返事がきたらメールアドレスを尋ねましょう。

無駄足を避けるために―取材対象者の見極め方

この最初のコンタクトの段階で反応が鈍い相手は、無事に脱稿まで至ることは困難、と見て間違いありません。2、3日経っても返事が無い場合や、返事の内容が消極的なケースは、見切りをつけて次の候補者を当たる方がよいでしょう。クライアントに事情を報告して、別の候補者を選んでもらうのも一つの手です。

取材内容の送付

メールに以下を記載して送信します。

1)記事を載せる媒体の概要
2)インタビューで聞く予定の事柄
3)その他の連絡事項

その他の連絡事項とは、インタビューの所要時間・場所・希望する日時、金銭の授受の有無、写真撮影を行うか否か等です。金銭の授受とは、取材料をこちらが払うのか否か、逆に広告料等をいただくのか、等です。特に店舗等に取材申し込みする際は、「店側が金銭(広告料)を払う案件か否か」で先方の対応が大きく変わるので、最初のメールに明記しておきましょう。

インタビューを受けていただくコツ

ぱっと見て用件がわかる、簡潔な本文のメールに仕上げることを心がけましょう。長文になる事項は、別のファイルにまとめて添付します。ただし、「ぜひ取材したいという気持ち」はきちんと伝えるべきです。企業の方が相手なら1~2文で、「かくかくしかじかの理由で、○○様(または製品)に魅力を感じた/興味を持った」と明記しましょう。年配者や芸術畑の方などに対しては、時候の挨拶から始めるなど手紙文の定型を踏まえたメールの方が好感触です。

日程のすり合わせ

取材依頼のメールに対して、好意的な応答をいただけたら、日程の調整に入ります。お断りが来たからといって、あきらめてしまうのは早計です。本当に無関心な方ならお返事もありません。応答があったという時点で「見込みがある」ので、相手方の都合・事情を聞き出し、別の選択肢を提案して打開策をさぐりましょう。「今は忙しい」と断られたら「では、いつ頃ならお手すきになりますか?」と伺う等、粘り腰の交渉が意外と有効です。

リマインダー

インタビューの前日あたりに、リマインダーをしましょう。勘違いなどでインタビューが実行できなかった場合、〆切りとの兼ね合いで困るのはライターの方だからです。電話が確実かつ手軽ですが、「リマインダーを行った」証拠を残した方がよい場合は、メールやファックスを使いましょう。

当日

インタビュイーはたいてい極めて多忙です。分刻みのスケジュールである方も多いので、時間ジャストに訪問しましょう。オフィスビルの1室を訪ねる場合なら、3分前にチャイムを鳴らす程度が目安です。自社ビルを所有する企業の場合は、ビルの大きさと受付の位置から移動に要する時間を推測し、10分前等に受付の前へ立ちます。時間に余裕を持って訪問し、受付の場所と目的のフロアを確認した上で、身なりを整えながらアポの時間を待つのがベストです。

インタビュー

インタビューとは、相手の方の人生や、人生をかけてつくっている品を取材する仕事です。たとえインタビューが立て続いていても、一回一回気持ちを改め、「相手の方にとってはとても大切なもの」をお伺いするのだ、と肝に銘じましょう。一方で、ライター自身の自衛のために、インタビュー内容の録音は必須です。録音やメモを嫌うインタビュイーもいらっしゃいますが、「お話に集中したいので、メモ代わりに録音させていただけますか?」「後日言った言わない等となる事態を、お互いに避けられますから」等とお話して、ご了解をいただくようにしましょう。あとで「言っていないことを書かれた」等とクレームをつけられた場合、録音があれば対抗できます。

インタビュー後

インタビュイーまたは秘書の方に、記事が公開されるまでの流れをご説明してクロージングします。草稿やゲラがいつ頃仕上がるか、内容の修正をご希望の場合はいつまでなら対応可能か、この2点は必ずお伝えしましょう。

後日―記事が公開されたら、お礼と共にご連絡

これは多くの場合、クライアントや編集者の方が、掲載紙の送付と併せて行ってくださいます。ただし、クライアント/編集者に、「○○先生へのお礼と記事掲載のご連絡は、お願いできますよね?」と、一言確認しておいた方がよいでしょう。クライアント/編集者によっては、やらなかったり失念したりすることもあります。そういう場合、インタビュイーの方から「あの記事、もう出たの?」「お礼状の一つもないの?」と苦情を言われるのは、インタビューを担当したライターだからです。今後のためにもきちんとお礼を済ませておきましょう。

インタビューの前に以下もぜひご覧ください。
インタビュイーの印象を良くするインタビューライター7つ道具 – かくたまブログ

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