マーケティング施策としてSEOやリスティング広告の導入を検討している場合、「SEM」という言葉について知っておくことは重要です。その定義について確認しておきましょう。リスティング広告の使い方と、SEOのコツ、2つの施策の併用方法についても解説しています。
SEMとは何か

SEM(Search Engine Marketing=検索エンジンマーケティング)とは、検索エンジンを利用したマーケティング施策の全般を指しています。
検索エンジン上のさまざまな表示エリアを利用して、できるだけ多くの人の目にとまるように工夫し、自社のWebサイトやランディングページなどへのアクセスアップを目指します。
SEMに含まれる代表的な施策の一つは「リスティング広告」です。あらかじめ設定したキーワードの検索結果の上部や下部に広告リンクを表示することで、クリックを促せます。
SEOとの違いは?
同じように検索エンジンを利用したマーケティング施策として、SEO(Search Engine Optimization=検索エンジン最適化)もよく知られています。
これは自社のWebサイト・Webページが検索エンジンから良い評価を得られるように最適化し、できるだけ検索結果の上位に表示されるようにする施策です。
つまりSEOは「SEMに含まれる一つの施策」という位置づけであり、SEMには前述のリスティング広告を含め、SEO以外の施策も含まれています。
SEMを考える重要性・メリット
SEMを導入することで、検索エンジンからのアクセスを増加させることができます。
検索エンジンは、インターネットで情報を収集するために多くの人が利用するツールです。ユーザーがWebサイトの存在に気づき、アクセスするための流入経路として大きな役割を担っています。
特にWebサイトにアクセスするユーザーの「振り分け」ができるという点が、検索エンジンを利用することのメリットです。
検索エンジンは、検索窓に「どんなキーワードを入力するか」によって、そのユーザーの考えていることや知りたいこと、ニーズなどを予想できるという特徴があります。
例えば「業務 効率化 ツール」で検索する人は、仕事を効率化する方法や便利なツールを探している人であることが推測できます。
つまり自社の商品・サービスを購入してくれそうな見込み顧客は「どんなキーワードを入力するか」を予想することで、自社にアクセスするユーザーの「質」を振り分けられるということです。
そのキーワードに合わせたSEO施策やリスティング広告の配信をすることで、質の高い見込み顧客を効率的に集められます。
SEMにリスティング広告を活用する方法
まずはSEMの主な施策の一つである「リスティング広告」について詳しく見ていきましょう。基本的なコツを3つ解説します。
適切なキーワードを選定する
リスティング広告の配信を成功させるには、まず「適切なキーワード」を選ぶことが前提です。
リスティング広告は、キーワードによって価格が大きく異なり、競合が多いキーワードほど広告費が高くなります。キーワードの選び方によって流入するユーザーの質が変わり、広告の効果も大きく変わってきます。
価格が高いキーワードほど効果が出るとは限りません。自社の求めるユーザーが検索するキーワードの中に、競合が少ないものがあるかもしれません。
まずは自社のサイトに誘導するユーザーの人物像「ペルソナ」を設定し、その人が入力しそうなキーワードをリストアップしましょう。無料で使える「サジェスト抽出ツール」を利用することで、キーワードのヒントが得られます。
関連した記事:サジェストキーワードとは?一括抽出ツール5選とSEOでの使い方
「Google広告」などリスティング広告を配信するシステムでは、広告を出す前の段階で、キーワードの競合性を確認できるようになっています。リストアップしたキーワードの競合性を確認し、できるだけ競合が少なくて効果が高そうなものを選びましょう。
常にコストを管理しながら運用する
リスティング広告を運用する上で、コストの管理はとても重要です。設定を間違えると、収益よりも広告費の方が多くなってしまい、赤字になるリスクがあります。
広告費を管理する上で重要なのは「CPA」と呼ばれる数値を把握することです。
CPA(Cost Per Action)とは、1回の売上や申込みなどの「コンバージョン」を発生させるためにかかった広告費を意味しています。1回のコンバージョンで得られる収入から逆算して、「CPAの上限」をあらかじめ決めておきましょう。
例えば1回の申込み(コンバージョン)で得られる利益が5000円なら、CPAが5000円を超えてしまうと赤字になることが分かります。利益を生み出すためには、もっと低いCPAを目標に運用していくことが必要です。
CPAが高すぎるなら、キーワードの変更や、コンテンツ改善などの対策をする必要があるでしょう。
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SEOと使い分ける
リスティング広告は配信を続ける限り広告費用がかかるため、ランニングコストの低いSEOと使い分けることが重要です。
SEOは一度検索で上位に表示されれば、コストをかけなくても安定してアクセスを集めてくれるという特徴があります。ただしWebページを公開してすぐに上位に表示されることは難しいので、すぐに効果を出せない点が弱点です。
その点を補うためにリスティング広告を併用しましょう。SEOの効果が出るまでの期間だけリスティング広告を配信し、自然検索で上位に表示されるようになったら広告は停止するという形で併用できます。
SERPs(サープス)で考えるSEOのコツ
SERPs(Search Engine Result Pages)とは、検索結果画面のことです。検索エンジンにキーワードを入力すると、さまざまな形式で結果が表示されます。
SEOでは、一般的な検索結果だけでなく、検索結果画面の「全体」をできるだけ利用し、ユーザーの目に留まる機会を増やすことが重要です。SERPsで考えるSEOの3つのポイントを紹介します。
動画・画像の有効活用
検索エンジンには「動画」や「画像」のタブがあり、インターネット上にある動画や画像などが検索できるようになっています。そのタブでのSEOも実施し、マーケティングに活用することが重要です。
「動画」のタブにはYouTubeの動画が多く表示されます。YouTube動画は、通常の検索結果に表示されることもあり、SEOにおける重要性が高まっています。
「画像」のタブについても、分かりやすい図で説明しているWebページを探しているユーザーが利用することがあるので、無視できません。
具体的にはYouTubeで質の高い動画を公開し、Webページ内で画像を使って分かりやすく説明することで対策できます。ユーザーが検索しやすいように、動画や画像にタイトルやディスクリプションなどの「タグ」を設定することも必要です。
特殊な検索結果への対応
Google検索では、通常の検索結果の他に、いくつかの「特殊な形式」での検索結果が用意されています。例えば以下の2つです。
- アンサーボックス
- リッチリザルト
「アンサーボックス」とは、検索結果の最上部や右上などに表示される簡潔な回答を示すボックスです。「ワンボックス」や「ダイレクトアンサー」と呼ばれることもあります。
アンサーボックスにはいくつかの種類があり、特定のサイトから抜粋された「強調スニペット」や、人物名や企業名などを別枠で表示する「ナレッジグラフ」などがあります。
「リッチリザルト」とは、Webページの内容を示すテキスト以外にも画像やレビュー、商品価格などの詳しい情報が表示される検索結果です。一番上に表示されるとは限らず、通常の検索結果の中に含まれる形で表示されます。
どの形式に対しても、基本的にはGoogleが推奨する適切なサイト構造にして、コンテンツの質を高めることで対策できます。
検索エンジンは常に進化していて、新しい機能の追加が頻繁に起きています。情報収集を怠らないように注意し、サイト構造を常に最適の状態にしておきましょう。
MEO(MAP Engine Optimization)を併用する
MEO(MAP Engine Optimization=マップエンジン最適化)とは、地図の検索結果で、自分の店舗や会社が上位に表示されるようにすることです。
検索エンジンには「地図」のタブがあり、店舗や会社を探すために多くの人が利用するので、その画面で最適に表示されるようにすることはSEOの一環として重要です。
適切に対策すれば、通常の検索結果で「ローカルパック」と呼ばれるエリアにも表示されることになるので、さらに多くの人から見てもらいやすくなります。
具体的には、無料の「Googleマイビジネス」に登録することで対策できます。実店舗への集客をするならやっておくべき基本のSEOです。
重要なのは「選ばれるコンテンツ」
SEMによって検索結果の画面に表示されるように工夫し、多くのユーザーの目に留まるようにすることは、Webマーケティングの基本です。
しかし単に「目に留まる」だけでは意味がありません。ユーザーの目に留まったとしても「クリック」されなければアクセスを増やす結果にはなりません。さらにはその先のコンバージョンにつながらなければ、アクセスを集めた意味もなくなってしまいます。
検索結果に表示されることは、ユーザーの目に留まるチャンスを得ただけであり、クリックされやすい「タイトル」や「良質なコンテンツ」、ユーザーに選ばれる「商品・サービス」があることが大前提です。
良質なコンテンツは、検索エンジンからの評価も得やすくなります。SEMと合わせて「選ばれるコンテンツ」の開発にも力を入れていきましょう。