ライティングだけでなくインタビューもできると、ライターとして受注できる仕事は格段に増えます。とはいえ、メディア業界での経験が無い新人ライターにとっては、ノウハウが得にくく、参入しにくい領域でもあります。この記事では、インタビューの流れと、それに携わる上で必要な知識やコツについてまとめました。

アポイントメントの取り方

インタビュイーにコンタクトする段階からライターに任される案件も、結構あります。その場合は、取材対象が企業関係者であるか、または個人であるかによって、アポの取り方が変わってきます。

企業やその社員にインタビューを申し込む場合

会社の広報担当者を通すと、断然スムーズです。その企業の公式サイトにアクセスし、「企業概要」等のページから代表番号を調べて電話をかけ、広報の部署へつないでもらいましょう。そして取材依頼の旨を告げると「詳細をメールしてください」と言われることが多いので、相手の名前とメールアドレスを聞きます。この際、相手の部署・名前をしっかり聞いておくと、そのあと返信がくる可能性が高くなります。

個人にインタビューを申し込む場合

最近はたいていの方が、SNSのアカウントを持っていたりメールアドレスを公開していたりするので、コンタクトは割と容易です。SNSの場合はできるだけ簡潔に、1)インタビューをお願いしたいという旨、2)トピックが何かということ、3)こちらの連絡先、を書いて送信し、返事がきたらメールアドレスを尋ねましょう。

無駄足を避けるために―取材対象者の見極め方

この最初のコンタクトの段階で反応が鈍い相手は、無事に脱稿まで至ることは困難、と見て間違いありません。2、3日経っても返事が無い場合や、返事の内容が消極的なケースは、見切りをつけて次の候補者を当たる方がよいでしょう。クライアントに事情を報告して、別の候補者を選んでもらうのも一つの手です。

取材内容の送付

メールに以下を記載して送信します。

1)記事を載せる媒体の概要
2)インタビューで聞く予定の事柄
3)その他の連絡事項

その他の連絡事項とは、インタビューの所要時間・場所・希望する日時、金銭の授受の有無、写真撮影を行うか否か等です。金銭の授受とは、取材料をこちらが払うのか否か、逆に広告料等をいただくのか、等です。特に店舗等に取材申し込みする際は、「店側が金銭(広告料)を払う案件か否か」で先方の対応が大きく変わるので、最初のメールに明記しておきましょう。

インタビューを受けていただくコツ

ぱっと見て用件がわかる、簡潔な本文のメールに仕上げることを心がけましょう。長文になる事項は、別のファイルにまとめて添付します。ただし、「ぜひ取材したいという気持ち」はきちんと伝えるべきです。企業の方が相手なら1~2文で、「かくかくしかじかの理由で、○○様(または製品)に魅力を感じた/興味を持った」と明記しましょう。年配者や芸術畑の方などに対しては、時候の挨拶から始めるなど手紙文の定型を踏まえたメールの方が好感触です。

日程のすり合わせ

取材依頼のメールに対して、好意的な応答をいただけたら、日程の調整に入ります。お断りが来たからといって、あきらめてしまうのは早計です。本当に無関心な方ならお返事もありません。応答があったという時点で「見込みがある」ので、相手方の都合・事情を聞き出し、別の選択肢を提案して打開策をさぐりましょう。「今は忙しい」と断られたら「では、いつ頃ならお手すきになりますか?」と伺う等、粘り腰の交渉が意外と有効です。

リマインダー

インタビューの前日あたりに、リマインダーをしましょう。勘違いなどでインタビューが実行できなかった場合、〆切りとの兼ね合いで困るのはライターの方だからです。電話が確実かつ手軽ですが、「リマインダーを行った」証拠を残した方がよい場合は、メールやファックスを使いましょう。

当日

インタビュイーはたいてい極めて多忙です。分刻みのスケジュールである方も多いので、時間ジャストに訪問しましょう。オフィスビルの1室を訪ねる場合なら、3分前にチャイムを鳴らす程度が目安です。自社ビルを所有する企業の場合は、ビルの大きさと受付の位置から移動に要する時間を推測し、10分前等に受付の前へ立ちます。時間に余裕を持って訪問し、受付の場所と目的のフロアを確認した上で、身なりを整えながらアポの時間を待つのがベストです。

インタビュー

インタビューとは、相手の方の人生や、人生をかけてつくっている品を取材する仕事です。たとえインタビューが立て続いていても、一回一回気持ちを改め、「相手の方にとってはとても大切なもの」をお伺いするのだ、と肝に銘じましょう。一方で、ライター自身の自衛のために、インタビュー内容の録音は必須です。録音やメモを嫌うインタビュイーもいらっしゃいますが、「お話に集中したいので、メモ代わりに録音させていただけますか?」「後日言った言わない等となる事態を、お互いに避けられますから」等とお話して、ご了解をいただくようにしましょう。あとで「言っていないことを書かれた」等とクレームをつけられた場合、録音があれば対抗できます。

インタビュー後

インタビュイーまたは秘書の方に、記事が公開されるまでの流れをご説明してクロージングします。草稿やゲラがいつ頃仕上がるか、内容の修正をご希望の場合はいつまでなら対応可能か、この2点は必ずお伝えしましょう。

後日―記事が公開されたら、お礼と共にご連絡

これは多くの場合、クライアントや編集者の方が、掲載紙の送付と併せて行ってくださいます。ただし、クライアント/編集者に、「○○先生へのお礼と記事掲載のご連絡は、お願いできますよね?」と、一言確認しておいた方がよいでしょう。クライアント/編集者によっては、やらなかったり失念したりすることもあります。そういう場合、インタビュイーの方から「あの記事、もう出たの?」「お礼状の一つもないの?」と苦情を言われるのは、インタビューを担当したライターだからです。今後のためにもきちんとお礼を済ませておきましょう。

インタビューの前に以下もぜひご覧ください。
インタビュイーの印象を良くするインタビューライター7つ道具 – かくたまブログ

外部の有識者から話を聞き、記事にまとめるインタビューライティングは、企業にとって外部委託しやすい案件です。したがってフリーのライターには「狙い目」のジャンルと言えます。一方で新人ライターにはノウハウが得にくく、苦労の多い領域でもあります。この記事では、インタビューに先立ち、用意しておくべきものについてまとめました。

名刺

インタビューは、まず名刺交換から始まります。最低5枚は用意しておきましょう。現場では、インタビュイーご本人にお渡しするだけではなく、秘書、広報担当者、仲介人など、複数の方にご挨拶することとなるケースが多いからです。自前の名刺を使う場合は、ユニークなタイプと無難で手堅いものの2種類を用意しておくのがおすすめです。個性的な名刺は、スムーズに会話へ移行するツールとして役立ちます。一方、まじめな方の場合は、ビジネスライクな名刺を使った方がよいでしょう。場の雰囲気で使い分けます。

名刺が無い場合は

急な依頼である場合や依頼元から「うちの社員として出向いてほしい」と言われた場合など、名刺が間に合わないこともあります。その際は「ただいま名刺を切らしておりまして」で通しましょう。実のところインタビューの前に、メールを交わしているケースが大半なので、名刺が無くとも実務的な不都合はまずありません。

時計

時間を適切に配分することも、インタビュアーの仕事の一つです。伺った先に時計があるとは限らないので、自前のものを必ず持参しましょう。おすすめは腕時計です。メモをとる際視界に自然と入るので、コンスタントに時刻をチェックできます。スマートフォンを時計として使用するのは、あまりおすすめしません。スマホは録音や情報検索など別の用途で必要となることが多いからです。また、スマホに気を取られているように見えると、悪印象を与えてしまいます。

ボイスレコーダー(録音機器)2つ

録音は必ず、2個以上の機器で行いましょう。録音ボタンが押されていなかった、電池が途中で切れた、録音機にお茶をこぼされた等、予期せぬトラブルは意外とあるものです。録音機器が1個しかない場合は、スマホの録音アプリを併用するとよいでしょう。どうしても1個でしか録音できなかった場合は、インタビュー直後にすぐバックアップを取る等、データの保全に努めるべきです。クライアントから後日「録音データも欲しい」と言われたり、インタビュイーに「こんなことを話した覚えはない」とクレームをつけられたりなど、録音データが必要になるケースは割とあります。

ノートとペン

録音していても、要所はメモをとりましょう。インタビューの時系列が一目で分かるため、書き起こしや記事執筆の際に所要時間を短縮できます。相手方に「しっかり聞いている人だ」という好印象を与える効果もあります。また、複数の人が発話した場合だと、後で録音を聞いた際、内容が聞き取れなかったり発話者が誰か分かりにくかったりすることが結構あります。声がかぶった時や座談会の場合は、誰が何を話したのかしっかりメモしましょう。

取材依頼のメールや資料は印刷して持参!

相手方もこちらも、日々多くのインタビューをこなしているものです。インタビューの直前には、やりとりしたメール等を見返し、「相手方/用件の取り違え」が万が一にもないよう確認しましょう。また、交わしたメールや関係する資料は、やはり紙ベースで持参する方が好都合です。インタビュイーに、「どんなメールを頂いてましたっけ?」と問われることはよくありますし、また相手にお見せする場合は、スマホやタブレットより紙の方が断然スムーズです。

撮影がある場合は身だしなみグッズ必須!

たいていのインタビューでは、写真撮影も行われます。その際、あるとよいのが手鏡です。インタビューは多くの場合、お茶等を飲みながら行われますし、また照明や暖房で意外と汗をかきます。そのためインタビュー終了後に「では撮影を」と申しあげると、ふっと不安げになる方もいらっしゃいます。特に女性や企業トップなど、見た目のイメージを気にされる方にこの傾向があります。そういう時「鏡をごらんになりますか」とお見せすると、安心されて表情がぐっとやわらぎ、よい写真が撮影できるものです。10センチ四方ほどの鏡を持参しておくとよいでしょう。

見た目をまったく気にされない方の場合

逆に、見た目をまったく気にされないインタビュイーもいらっしゃいます。この場合、あるとよいのが「使い捨てのくし」です。写真が見苦しい感じに撮れてしまうと、記事のクオリティにかかわりますし、後日、秘書の方やクライアントが苦情を言ってくることもあります。髪を整えていただくだけで印象がまったく変わりますので、くしを使っていただきましょう。

リップクリーム

インタビューの際、ライターはとにかく多く話さねばなりません。出会い頭の挨拶から話中の相づち、最後のお礼の言葉まで、用件だけでなくコミュケーションのために、臨機応変によどみなく話す必要があります。そのため役立つのがリップクリームです。インタビュー直前に一塗りしておくと、口の動きの滑らかさが違います。また唇の艶は、第一印象を大きく左右します。俗に「人の印象は第一印象で決まる」等と言われますが、インタビュアーはまさに一期一会の仕事です。出会った瞬間に好印象を持っていただけなければ、相手の口がほぐれることはない、と覚悟しましょう。できればインタビュー直前にリップクリームと目薬を使い、いきいきした目・唇を演出したいところです。

あわせて以下も参考にしてください。
インタビュー・取材の依頼方法 アポイントメントを取るメールの書き方や電話のかけ方 – かくたまブログ

今回はフルタイムの就業をしながら隙間時間でうまくライティングをしているライターの赤井さんにお話をうかがいました。
副業ライターの本音を探ります。

始めはお小遣い程度の報酬が得られれば、と考えてスタート

かくたま:ライティングを始めたきっかけを教えてください。
お小遣い程度の金額が稼げればとクラウドソーシングに登録したのがきっかけです。
自分にできそうな仕事の一つにライティングがありました。初めてライティングのお仕事を受注したのは、2年ほど前です。初めての仕事は育児関係で600文字300円でした。その頃はお小遣い程度の報酬が得られれば…という考えで、単価も数百円程度のものが中心だったんです。(※かくたまには現在1文字1円以下のライティング案件はありません。2020年7月時点)

その後、子供の夜泣きがなくなるなど育児がある程度落ち着き、作業時間をコンスタントに確保してライティングに取り組めるようになました。以降は出産・育児やアパレル、ジュエリーなどの女性向け記事から特定の職種に向けた啓発記事まで、さまざまなジャンルの案件に取り組んできました。それにともなって少しずつ単価の高い案件も受注できるようになり、クライアントにアピールできる実績も充実してきました。

夫婦で協力してライティングの時間を確保

かくたま:フルタイムで就業中、さらにお子様もいるとかなり忙しいのではないでしょうか。どうやってお仕事の調整をされているのでしょうか。

作業時間は基本的に子供が寝た後ですが、夫が非常に協力的で育児も家事も協力し合っているので、比較的まとまった時間を毎日コンスタントに確保できています。夫婦ともに残業がほとんどない職場というのも大きいと思います。

また、休日も子供がお昼寝をしている隙にPCに向かうなど、隙間時間を有効に使うよう心がけています。子供が体調を崩すなど、突発的なトラブルが起こるとライティングにも影響が出てしまいますが、そういった場合にも夫が積極的に看病に参加してくれるので、そこまで負担に感じないというのもありがたいです。

在宅ワークなので子どもと過ごす時間もしっかりと確保

マイホーム計画も進行中。精神的にも経済的にも満たされています。

かくたま:ライティングを始めてから自分の周りで変わったことはありますか?

WEBコンテンツなど、普段何気なく目にしていた記事やコラムをライター目線で見ることが多くなり、いい点は自分のライティングにも取り入れるなど、向上心を持って生活できるようになりました。

生活面では夫の負担が増してしまったという負い目はありますが、その分家計も潤うようになり、結果的に当初の目標よりも早くマイホーム計画が進められるなど、メリットもたくさんありました。

ライティングを始めたことで、それまでより精神的にも経済的にも満たされていると実感しています。これからもさまざまなジャンルに挑戦して、その中で自信の知識を深めていけたらと思っています。また、より高単価の案件を発注してもらえるよう、コツコツと経験や実績を積み重ねていきたいと思います。

ライティングで重要なのは情報の見極め

かくたま:難しい高額案件や、短い分量の案件までさまざまなジャンルの案件を高いクオリティでこなしていただいています。クオリティを維持するために普段気を付けていることや、やっていることはありますか?

案件によっては自身で情報を集める必要がありますが、この段階でしっかりと時間を使って正確な情報を見極めることが大切だと思っています。情報の重要度を見極め、必要文字数に合わせて取捨選択するという作業を丁寧に行うことで記事の説得力も変わってきます。

一方で情報量が少ない場合には、決して文字稼ぎにならないよう情報を膨らませなくてはならないので、また違った難しさがあります。それらに臨機応変に対応しつつ、限られた時間の中でいかに質を落とさず仕上げるかというのは、いつも気を付けている部分ではあります。

業務はノートパソコン1台で行う

空いた時間を有効に使いたい方にとって、これほど都合のいいお仕事はない

かくたま:育児とライティングという2足のわらじは、本職と副業のライティングという方とはまた違った難しさがあると思います。やってみたいと思いつつも、育児との両立ができるか不安に思っている方もたくさんいらっしゃいます。
これからライティングを始めるママさんにアドバイスをお願いできますでしょうか。

正直、ご主人がお忙しくて育児にあまり携われないという方や、周囲からサポートを受けるのが難しいという方は、育児が忙しすぎてこうした副業を始めるのは大変かもしれません。ただ、子供が寝ている時間に手持無沙汰になりがちという方、ふと空いた時間を有効に使いたいという方にとっては、これほど都合のいいお仕事はないのではないでしょうか。

かくたまでのお仕事でありがたいのは、「今月はこのジャンルで○件お願いします」というような受動的なお仕事ではないということです。もちろんそういった依頼もありますが、基本的に受注するかどうかはライター側に委ねられていて、自分のペースに合わせて能動的に仕事を選び取れます。

ライティングパネルには不定期でお仕事が追加されますが、プライベートが忙しい時には無理に受注する必要もなく、
納期や仕事内容を見てできそうだと思った仕事だけを選ぶことができるので無理がありません。

かくたまのお仕事は必ず詳細なレギュレーションがあり、問題があれば丁寧なフィードバックもいただけるので
初めてのジャンルであってもコツを掴みやすいと感じます。ライティングシステムの使い勝手もよく、その後に他でライティングをするとやりにくく感じてしまうほどです。

ライティングに興味がある方が初めて携わるお仕事としては非常におすすめです。
まずは育児の合間に一件、試しに受注してみるのもいいのではないでしょうか。


今回インタビューした方

『副業ライター 赤井さん』

大学卒業後、総合商社での営業や質屋での事務・経理・通販業務を経験。地元の同級生との結婚が決まりUターンし、入籍と同時に製造業の総務職に転職。入籍の1年後に子供が生まれ、現在は1歳10か月の子供を育てながらフルタイムで就業中。

かくたまの継続案件はもちろん、新規で難易度の高いテスト案件にも携わる実力派のライター。

※「かくたま」はサイトエンジン株式会社の提供するサービスです。


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