初めての確定申告を控える方にとって、青色申告と白色申告の違いはわかりにくいもの。
自分がどちらの申告方法を選ぶべきかお悩みの方も少なくないでしょう。
本記事では、青色申告と白色申告の違いやそれぞれのメリットについて解説します。
また令和2年分の申告から改正された、青色申告特別控除の最大額を受けるための条件についても詳しく取り上げています。
青色申告と白色申告の基本的な違いを確認し、自分にとってどちらの方法がよいかお悩みの方はぜひ参考にしてください。
そもそも青色申告・白色申告とは?
青色申告・白色申告とは確定申告における申告方法の種類で、事業所得および不動産所得がある人が行うものです。所属する企業からの給与所得だけを受け取っているサラリーマンは対象にはなりません。
本業で給与所得を受け取りながら副業でライターをしている方や、企業に属さず個人で仕事を請け負っている専業ライターの方は、どちらの方法で事業所得の確定申告を行うかを選択する必要があります(年間所得額によっては申告が不要なケースも)。
青色申告と白色申告は、帳簿の付け方や確定申告時の提出書類に以下のような違いがあります。
青色申告 | 白色申告 | |
事前申請 | 必要(開業届の提出から2ヶ月以内) | 不要 |
帳簿の付け方 | 複式簿記 | 簡易簿記 |
確定申告の提出書類 | ・確定申告書B・青色申告決算書(損益計算書/損益計算書の内訳/貸借対照表) | 確定申告書B |
この表だけを見ると、事前申請が不要で申告書類の少ない白色申告を選びたくなる方も少なくないで
この表だけを見ると、事前申請が不要で申告書類の少ない白色申告を選びたくなる方も少なくないでしょう。
しかし青色申告にはメリットも多く、白色申告との違いをよく理解したうえで選択しないと損をしてしまうことも。
次の項では、青色申告のメリットをとりあげながら、二つの違いについて更に詳しく解説します。
メリットが多いのは青色申告!どんな特典がある?
白色申告のメリットは帳簿付けの簡易さや申告時の書類の少なさであり、それが唯一のメリットであるとも言えます。
一方で節税面において多くのメリットがあるのが青色申告です。
青色申告のメリット1 最大65万円の特別控除があり節税効果が高い
青色申告をするもっとも大きなメリットは、税金の特別控除があることです。
年間の所得から控除額を差し引くことで、課税対象となる額が減るので節税効果があります。
青色申告における控除額は、条件によって10万円、55万円、65万円の3段階。
一方で白色申告には特別控除が設けられていないため、所得のすべてに税金がかかってしまうのです。
例えば年間の所得額が同じ200万円であっても、白色申告では全額200万円に対する税金がかかるところ、青色申告で65万円控除の条件を満たせば、税金がかかるのは控除額を引いた135万円に対してのみです。
青色申告のメリット2 経費にできる範囲が大きい
青色申告と白色申告では、経費の面でも大きな違いがあります。
30万円未満の固定資産を一度に経費計上できる
白色申告の場合、10万円を超えるものを一度に経費として計上することができません。
対象となる物によって決められた年数に分けて経費を計上する「減価償却」という方法をとる必要があります。
例えばWebライターをするうえで欠かせないパソコン。
10万円を超えるパソコンを購入しても、全額をその年の経費としては計上できず、4年に分けて経費計上する必要があります。
しかし青色申告の場合、30万円までは一括で経費として計上可能です。
経費として計上できる額が大きいということは、課税される対象となる所得額が減るので節税に繋がります。
ただし、年間で300万円までという限度があるので忘れないようにしましょう。
家賃や光熱費の一部を経費計上できる
青色申告では、仕事をしているのが自宅であっても、家賃や光熱費の一部を経費として計上できます。
在宅で仕事をすることが多いWebライターにとっては、大きなメリットと言えるでしょう。
ただし事業で使用している割合に合わせた額に限定されます。
例えば3部屋あるうちの1部屋を仕事部屋にしているので家賃の1/3、平均で8時間仕事をしているので光熱費の1/3だけを経費とするなど、具体的に理由を示せることが重要です。
白色申告においても家賃や光熱費の経費計上は不可能ではありませんが、青色申告よりも条件が厳しくなります。
青色申告が「事業でも使用」している割合に対して認められるのに対し、白色申告では「主に事業で使用」していることを示せなければ経費として認められない可能性が高いです。
家族への給与を全額経費計上できる
青色申告では、事業を手伝う家族への給与を経費として計上することができ、その金額の上限も定められていません。
以下のような条件があるものの、年間の給与額を考えれば大きな節税効果があると言えるでしょう。
・事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること
・給与を受け取る者は専業従事者(他に給与所得などを得ていない者)であること
一方で白色申告の場合、家族への給与の上限が定められています。
配偶者は86万円、その他の家族は50万円です。
青色申告のメリット3.赤字を繰り越せる
年間所得を計算して赤字になった場合、青色申告では3年間繰り越すことが可能です。
特に開業初年度は売上が思うように上がらない、開業準備の経費がかさむなどの理由で赤字になることも珍しくありません。そのようなときに、次年度以降に相殺することで課税対象となる金額を減らせるのです。
例えば開業年に赤字が50万円で青色申告をし、翌年が200万の黒字だった場合、前年から繰り越した赤字50万円分を引いた150万円分に対して課税されます。
所得が全く同じケースでも白色申告の場合、赤字の初年こそ確定申告自体が不要ですが、赤字を繰り越すこともできない翌年は200万円全額に対して課税されることになります。
青色申告の課税対象額 | 白色申告の課税対象額 | |
開業年の所得:赤字50万円 | 課税なし | 課税なし(確定申告不要) |
翌年の所得:黒字200万円 | (200-50)150万円 | 200万円 |
このように青色申告は、高い節税効果が期待できることが大きなメリットです。
新たな条件に注意!青色申告特別控除を受けるためには
青色申告の大きなメリットとも言える最大65万円の特別控除を受けるには、さまざまな条件をクリアする必要があります。
特に令和2年分の申告から新たな条件が追加されているので早めの確認が必要です。
令和元年までの条件
令和元年分の確定申告までは、以下の条件を満たすことが青色申告特別控除を受けるための条件でした。
①青色申告申請書を提出していること
青色申告をするためには、事前にその意志を示す申請書の提出が必要です。
開業初年度から青色申告を考えている場合、開業日から2ヶ月以内が申請書提出の期限となるため、開業届と同時に提出しておくと忘れにくいでしょう。
仮に他の条件を満たしていても、青色申告申請書を提出していない場合、その年は白色申告しかできません。
②事業所得か不動産所得があること
青色申告の制度を利用できるのは、事業所得と不動産所得についてです。
副業ライターとして活動する場合でも、本業の給与所得については対象になりません。
ライター業で得た事業所得についてのみ控除されます。
③複式簿記による帳簿付けを行っていること
青色申告では、複式簿記という少し複雑な方式による帳簿付けが必要です。
簿記の知識がまったく無い人がゼロの状態から行うのは現実的ではなく、一般的には会計ソフトなどを導入して帳簿付けを行います。
また場合によっては税理士に依頼することもあるでしょう。
④青色申告決算書を提出すること
青色申告決算書は、複式簿記で作成した帳簿に基づいた以下の書類です。
・損益計算書:1年間の所得金額(総収入金額-必要経費)を示す書類
・損益計算書の内訳:月別の売り上げ(収入)および勘定科目、減価償却費などを示す書類
・貸借対照表:事業に関する財政状況(資産の調達や使われ方)を示す書類
会計ソフトを導入している場合、主な部分は日々の帳簿から自動的に作成されることが一般的です。
⑤確定申告書に控除額を記入すること
青色申告決算書と共に提出する確定申告書には、課税対象の所得額から差し引くことのできる控除額を記入します。
⑥法定申告期限(翌年3月15日)までに確定申告書を提出すること
定められた確定申告の期限内に提出できなければ、青色申告の特別控除額は最大の65万円から10万円に減額されてしまいます。
以上の条件を満たすことで、令和元年分までは青色申告特別控除の最大額65万円が適用されていました。
しかし令和2年分の申告では、上記の条件を満たすだけでは控除額が55万円に減額されてしまいます。
令和2年から新たに追加される条件
令和2年分の確定申告で青色申告特別控除の最大額65万円控除を受けるためには、上記に加えて以下のどちらかの条件を満たさなければなりません。
①仕訳帳、総勘定元帳を電子帳簿保存していること
電子帳簿保存は、パソコンで作成したデータを出力せずに電子データのまま保存する方法を指します。確定申告で電子帳簿保存をするためには、事前に以下の準備が必要です。
・税務署に申請書を提出し、電子帳簿保存をする旨の承認を得ること
・制度に対応可能なソフトを導入すること
なお、令和2年分の確定申告から電子帳簿保存をするための申請は既に期限が過ぎています。
翌年以降のために詳細を確認したい方は以下のページを参考にしてください。
(外部リンク)
国税庁「電子帳簿保存法関係」
②確定申告書および青色申告決算書をe-Taxで提出すること
インターネットを介して確定申告書および青色決算書の提出を行える制度をe-Tax(国税電子申告・納税システム)と呼びます。
e-Taxによって確定申告を行うためには、以下2つの方式からいずれかを選択します。
・マイナンバー方式
マイナンバーカードを利用した電子申告の方法です。
確定申告の時までにマイナンバーカードの取得をすること、また申告のために必要なICカードリーダライタを準備する必要があります。
・ID・パスワード方式
税務署で本人確認を行ったうえでe-Tax用のIDとパスワードを発行してもらい、電子申告する方法です。
事前にID・パスワードを取得しておけば、申告は自宅のパソコンやスマートフォンからも行えます。
e-Taxについて更に詳しくは、以下のページを参考にしてください。
(外部リンク)
国税庁「e-Tax利用の簡便化の概要について」
青色申告特別控除の条件を控除額ごとにまとめると以下の表のようになります。
控除額10万円 | 控除額55万円 | 控除額65万円 | |
青色申告をしていること(申請書の提出) | 〇 | 〇 | 〇 |
事業所得/不動産所得があること | ー | 〇 | 〇 |
複式簿記で帳簿を付けていること | ー | 〇 | 〇 |
青色申告決算書を記入すること | ー | 〇 | 〇 |
確定申告書に控除額を記入すること | ー | 〇 | 〇 |
法定期限内に確定申告すること | ー | 〇 | 〇 |
仕訳帳及・総勘定元帳を電子帳簿保存すること | ー | ー | 〇(どちらか) |
法定期限内にe-Taxで電子申告すること | ー | ー |
このように青色申告の特別控除の最大額65万円を得るためには様々な条件が必要です。
特に開業初年は難しい部分もあるかもしれませんが、節税効果は大きなものです。
自分に合った申告方法や控除額ごとの条件を早めに確認し、ゆとりをもって確定申告できるようにしましょう。
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