ライティングと源泉徴収税 フリーランスWebライターは確定申告して還付金を受け取ろう

ライティングと源泉徴収税 フリーランスWebライターは確定申告して還付金を受け取ろう

依頼主は基本的に源泉徴収をしてから報酬を振り込みますが、稀に源泉徴収をしない依頼主もいます。業務委託として働くフリーランスライターは、その源泉徴収について何をすればいいのでしょうか。この記事では、ライティングの仕事を初めて1年未満の方のために源泉徴収や確定申告についてご説明しています。

報酬受け取り時に引かれる「源泉徴収」って何?

正社員やアルバイトのように会社に雇用されている場合、12月か1月の給与明細と共に1年間に支払った税額が記載された源泉徴収票を受け取ります。しかし「源泉徴収」とは何なのかきちんとご存知の方は少ないのではないでしょうか。

源泉徴収とは事業者が従業員の毎月の給与から差し引く源泉所得税のことで、事業者がまとめて納税することで国が確実に所得税を徴収し、安定した税収を得ることができるようになっています。またフリーランスが得る報酬は作業内容によって源泉徴収の対象となるか、ならないかが決まり、対象となる作業の報酬は所得税を引いてから支払われます。

ライティングで得た報酬は源泉徴収される?

それでは、業務委託でのライティング業務で発生した報酬は源泉徴収をされるのでしょうか。ライティング業務で得た報酬は源泉徴収の対象であるため、徴収後に報酬が支払われます。しかし源泉徴収を行わずに報酬を振り込む依頼主もいますので、契約時に源泉徴収について説明がなかった場合は、初めて報酬が振り込まれた時に満額かどうか確認したり、依頼主に源泉徴収について確認を取る必要があります。

ちなみにライティングにおける源泉徴収税額は、報酬が100万円未満の場合は「支払金額×10.21%」、100万円以上であれば「(支払金額–100万円)×20.42%+102,100円」で計算します。
ただしパーセンテージの小数点以下は復興特別所得税であるため、2038年以降に生じた所得については徴収されなくなります。

個人事業主、フリーランスとして業務委託でライティングの仕事をしているなら、基本的に源泉徴収が差し引かれて振り込まれます。国税庁のサイトに、報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲として、「原稿料や講演料など」と明記されています。

参考: No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは |源泉所得税|国税庁

つまり、ライティングの仕事に関していけば、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシング経由の仕事も含めて、基本的にすべて源泉徴収が必要です。もしあなたが法人化していて、法人の銀行口座に報酬を支払いしてもらうなら、源泉徴収は義務ではありません。

依頼主より源泉徴収されなかった場合に必要なこと?

もし依頼主が源泉徴収を行わずに報酬を満額振り込んだ場合はどうしたらよいのでしょうか。そういったケースが発生した場合、ライターが何かをする必要は全くありません。

源泉徴収した税金を納税するのは依頼主側の義務なので、誤って源泉徴収をしなかった場合にさまざまな処理をしなければならないのは依頼主のみとなります。

源泉徴収に関して必ずやらなければならないことは?

逆に、フリーランスのライターが源泉徴収の有無に関わらず必ずしなければならないのは確定申告です。1年間の源泉徴収額はその年の総所得で決まるため、もし税金を払いすぎていた場合は超過分を還付金として受け取ることができます。その場合、収入が少なくても確定申告はしておいたほうが得です。

所得はもらった報酬(売上)から、必要経費を差し引いて計算します。たとえば、もし原稿を書くための取材に行けば交通費は経費になるでしょう。また、原稿執筆のための資料として書籍を買った場合などもそれは経費になります。経費を申告することで納税額を減らせて、結果として還付金を受け取れるかもしれないのがフリーランスが確定申告するメリットです。

しかし源泉徴収された額が収入に対して少ない場合は追納する必要が出てきますのでご注意ください。

確定申告で抑えておきたい源泉徴収の疑問

確定申告書の作成は最初は難しいと感じるかもしれませんが、一度やり方を覚えてしまえば翌年からは簡単にできます。申告書作成時に浮かびやすい疑問を源泉徴収関連のみに絞ってまとめましたので、ぜひ覚えておきましょう。

納税や事務処理などは自分でする?

前述したとおり、源泉徴収についてライター側がすべきことは確定申告のみです。不足した場合は自分で納税する必要がありますが、通常は依頼主側が納めて処理までするため、確定申告以外にすることはありません。

源泉徴収の複式帳簿への記帳方法は?

青色申告をしているライターの場合、確定申告にあたって複式簿記で作成された帳簿を提出する必要があります。報酬が源泉徴収された場合は実際に得た額と源泉徴収の額に分けて記載しましょう。ほとんどの契約では報酬が発生した日と振り込まれる日は別ですので、今回はそのケースについてのみご説明します。

発生日と振込日が別の場合は、それぞれの日について記帳する必要があります。例えば10,000円の報酬を得た場合、報酬発生日の帳簿には

・借方「売掛金」 金額「10,000」
・貸方「売上高」 金額「10,000」
・摘要欄「原稿料」

と記載します。
そして振込日における源泉徴収額は1,021円ですので

・借方「普通預金」 金額「8,979」
・貸方「売掛金」 金額「8,979」
・摘要欄「原稿料」

・借方「事業主貸」 金額「1,021」
・貸方「売掛金」 金額「1,021」
・摘要欄「源泉所得税」

の2行を記載します。

源泉徴収に関して確定申告時にすべきことは?

確定申告書には申告書Aと申告書Bが存在しますが、フリーランスのライターや個人事業主は、所得の種類にかかわらず誰でも使用できる申告書Bに記入して提出します。この時、44番「所得税及び復興特別消費税の源泉徴収税額」に源泉徴収された金額を記入しますので、源泉徴収額の合計を求めておきましょう。

アルバイトとフリーランスライター兼業の場合は?

アルバイトとフリーランスを掛け持ちしておりフリーランスとしての収入が20万円を超えている場合、アルバイトの給与とライター業務で得た報酬の合計額を所得として確定申告を行います。ブログやアフィリエイトサイトなどの運営で副収入がある場合もそれが20万円以上になる場合には申告が必要です。

ライター業務で得た収入から経費を差し引いて事業所得を計算し、アルバイト先で発行された源泉徴収票を参照して合計所得を求めましょう。確定申告書を作成する過程でその合計所得を元にした所得税を算出し、既に支払った源泉徴収額を差し引いて1年間の税額を求めます。

ライティングの依頼主よりマイナンバーを求められることも

業務委託でクラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングのサイトを経由して作業を請け負った際、依頼主からマイナンバーの提出を求められることがあります。これは依頼主が作成する支払調書にライターのマイナンバーを記載する必要があるためです。

マイナンバーとは?

2016年1月から始まったマイナンバー制度ですが、そもそもマイナンバーは何のために使用されるのでしょうか。マイナンバーは国民1人に1つ与えられた12桁の番号であり、主に税金や社会保障などの機関で個人を特定するために利用されます。また、マイナンバーによって行政の業務効率化ができるとされています。

マイナンバーは必ず提出しなければならない?

マイナンバーは個人情報そのものであるため、流出した場合のデメリットを考えて提出を断りたい方もいらっしゃるでしょう。実は依頼主へのマイナンバーの提出は必須ではありません。提出を義務付ける法がありませんので、依頼主はマイナンバーの提出を強制することができないのです。
ただし、支払調書に記入欄があるのに提出を断ることは依頼主に悪い印象を与えかねませんし、後々の依頼数に響いてくる可能性もあります。依頼主と円滑な関係を続けていくためにも、依頼があった場合はマイナンバーを提出しましょう。

ライターは基本的に源泉徴収について気にする必要はありません。源泉徴収については複式簿記を作成する際、源泉徴収額についての行を設けること、確定申告の際は源泉徴収額を確定申告書に記載する必要があることのみ覚えておきましょう。



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