インターネットを利用して自社の商品やサービスを販売したいと考えているのなら、ウェブサイトを使って集客しなければいけません。ウェブサイトへの集客方法として、頻繁に利用されるのが、“コンテンツマーケティング”です。
しかし、ただコンテンツを積み上げていけばいい、というわけではありません。今回は、知っているようで知らないコンテンツマーケティングについてご紹介します。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングは、それこそ自社のサービスや商品をまだ知らない、将来的に有望な顧客になってくれそうな人と徐々に信頼関係を気付いていくマーケティングです。比較的、新しいマーケティング用語だと思われていますが、アメリカでは10年以上も前から存在しており、日本では、2015年ごろからブームとなっています。
コンテンツマーケティング インスティチュートを創設したことからコンテンツマーケティング権威として知名度のあるジョー・ピューリッチは以下のように書いています。
「Content marketing is a strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly defined audience — and, ultimately, to drive profitable customer action.」
出典:What Is Content Marketing?(CMI)の原文
(http://contentmarketinginstitute.com/what-is-content-marketing/ 英語サイト)
ジョーの書いている「コンテンツマーケティングとは」を整理すると、以下のような3つのポイントがわかります。
1.有益で関連性が高く、一貫性のあるコンテンツを継続的に作ること。
2.コンテンツを作るだけではなく、どのように発信するかにも着目した戦略的なマーケティング手法であること。
3. ターゲットとなるユーザーを引き付けて維持し、収益性の高い顧客に変えていくこと。
つまり、コンテンツマーケティングを実践することは、将来、自社の見込み客となる検索ユーザーや過去に取引経験のある優良顧客に対して、情報価値の高いコンテンツを継続的に提供し、信頼を獲得することで、最終的なコンバージョン(成果や購買、収益)まで導くということになります。この一連の手法をコンテンツマーケティングといいます。
コンテンツマーケティングのメリット
実際に、コンテンツマーケティングを実践すれば、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか?実践するメリットをいくつかピックアップします。
インターネット上に集客媒体が作成できる
広告料金が必要となるリスティング広告では、どうしても初期の段階でまとまった広告費用が必要です。つまり、広告費用が底をつけば、広告を掲載することができなくなり、売上にも直結する集客がそこで途絶えてしまいます。しかし、コンテンツマーケティングなら、広告費用の準備が厳しい事業者でも、信頼性と情報価値の高いコンテンツを掲載することで、継続的に集客可能な媒体を構築できます。
検索ユーザーと信頼関係が築きやすい
多くの場合、検索ユーザーは、悩みをかかえています。私たち、ウェブ担当者は、コンテンツマーケティングを通して、検索ユーザーがかかえる悩みを解決しなければいけません。
検索ユーザーがかかえる悩みに寄り添い、その解決策をウェブサイトに定期的に掲載していくため、検索ユーザーから信頼を得ることができます。
サイトへの信頼は、サイト運営者が提供、もしくは推薦するサービスや商品への信頼とも直結します。
自社のウェブサイトに、定期的に訪問してくれるような関係性を検索ユーザーと築くことができれば、コンバージョンする可能性も高まります。
導入に手間がかからない
世の中には、すでに数多くのマーケティングが存在しており、その難易度もさまざまです。たとえば、動画マーケティングなら、動画の作成が大きな壁となります。他にも、リスティング広告なら、広告の制作や出稿が高いハードルとなって表れます。
コンテンツマーケティングは、良質なコンテンツとそれを配信する環境があればスタートできるため、ハードルとなるものはほとんどありません。テキストをベースとしたウェブサイトの運営なら、高額なツールは必要ありません。ゴルフのプロフェッショナルレッスンを提供する会社であれば、ゴルフが好きな方々の悩みを解決するようなコンテンツを、プロの目線で作るのもよいでしょう。例えばクラブの選び方や、ちょっとした空き時間にできる練習法などです。ほかの人には作れず、困っている人を助けるコンテンツを作ることができれは、それは読み手の信頼へとつながります。
どんなジャンルでコンテンツマーケティングをスタートするかによりますが、自社の強みを生かすことができて、導入に手間がかからないことがこのマーケティングの魅力といえるでしょう。
コンテンツマーケティングのデメリット
一方で、コンテンツマーケティングを実践すれば、どんなデメリットが発生するでしょうか?具体的なものをいくつかピックアップします。
ウェブサイトを定期的に更新しなければいけない
コンテンツマーケティングを実践するには、コンバージョンが発生するまで、コンテンツを継続的に制作し、ウェブサイトを更新し続けなければいけません。
そのためには、情報を追い続け、コンテンツ化する必要があります。一般的なウェブ担当者は、他の業務と兼任しながらコンテンツ制作をすることになるため、社員にとって非常に大きな負担となります。
コンテンツマーケティングを失敗で終わらせないためには、効率的にコンテンツを制作するための社内体制が必要です。
結果が表れるまでに時間がかかる
コンテンツマーケティングは、なかなか結果が表れるまでに時間がかかる施策です。早ければ、3ヵ月程度でコンバージョンが表れますが、最低でも6ヵ月程度は、必要と考えておいた方がよいでしょう。
そのため、費用対効果を計測することが費用に難しく、会社によっては導入に至らないこともあります。結果を急ぎすぎるあまり、コンテンツマーケティングを開始して1ヵ月後に“失敗に終わってしまった”と見切りをつけて、コンテンツの制作をやめてしまうケースも頻繁に見かけます。
そのため、一定のコンバージョンを獲得するには、成果が出ない時期でもコンテンツ制作を継続する忍耐が必要です。
ペルソナを設定し、ターゲットを決定する
コンテンツマーケティングを実践するにあたり、誰をターゲットとして情報発信を行うのか、その人物像を決定することをペルソナといいます。
ペルソナの作り方は、非常に簡単です。まず、既存顧客の中でも優良顧客を抽出して、その特徴をリストアップしていきます。
・節約することが大好き。
・日々の家事に悩みを抱えている。
・1週間に1回だけ家事を代行したいと考えている。
このような感じで、思いつくままに書いてください。既存顧客がいなければ、社内会議で話し合い、意見を出し合って箇条書きにしてもよいでしょう。営業部門にも会議に参加してもらいデータからは見えてこない、理想の人物像について具体的なアドバイスをもらいます。
ペルソナが決まったら、理想の人物像について社内で共有します。これで、ひとりひとりの共通認識をペルソナの人物像に合わせられるため、社内におけるお互いの認識のズレを防げます。
顧客のニーズとステージに合わせたマーケティングを展開する
コンテンツマーケティングでは、顧客のニーズとステージに合わせたコンテンツを制作し、適切なタイミングで電話によるヒアリングやセールスなどのアクションを起こします。
従来のような高い確率で購買を決定している見込み客をターゲットとする方法とは異なり、不安や購買が不明確な“潜在ユーザー”に対して、コンテンツの価値を認知してもらい、ステップアップ形式でコンバージョンさせることに焦点を当てることがコンテンツマーケティングの最大の特徴です。
ペルソナ作成後、カスタマージャーニーを作成する
ペルソナの作成が完了したら、ターゲットがとると予測される行動を時系列で1枚にまとめます。ちなみに、その行動を可視化したものを、カスタマージャーニーといいます。そして、フレームワークを使って、コンバージョンまでの流れを可視化した図をカスタマージャーニーマップといいます。
それでは、カスタマージャーニーマップを作成してみましょう。縦軸に「接触ポイント」「行動」を入れます。横軸に、「認知」「興味・関心」「比較・検討」「行動」を入れます。ここでは、「AISAS」の購買モデルをベースとして、カスタマージャーニーを作成しています。この点については、販売予定の商品やサービスによって、変更してください。
このように、カスタマージャーニーマップを作成すれば、顧客行動を時系列で判断しやすくなります。購買や認知プロセスが多様化する現代では、時系列による行動把握を得意とするカスタマージャーニーマップの作成が必須です。
カスタマージャーニーに関して詳細が知りたい方はぜひこちらをご参照ください。
>カスタマージャーニーマップの作り方と書き方【サンプルあり】
いかがでしたでしょうか。コンテンツマーケティングは、テキストや音声、動画など、コンテンツの形式にとらわれない柔軟性の高いマーケティングです。最初からクオリティの高いコンテンツを制作することは、簡単ではありません。まずは、継続してウェブサイトを更新していくことが大切なので、安定して同じ曜日に更新し続けることを目標にして作業を進めていきましょう。
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