2016年に放送されたテレビドラマ、石原さとみさん主演の『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』により、校閲の仕事が注目されるようになりました。大手の出版社や新聞社には校閲部門があり、ライティングした原稿には厳しい校閲の目が入ります。けれどもフリーのライターの場合、校閲は自分でしなければいけません。
日本語の表現はむずかしく、明らかに間違っているという場合もありますが、間違いとはいえないけれども一般的にはこうしたほうがいいなどの表現もあります。
最近では、出版社や新聞社の校閲部門がSNSなどで校閲部門の内情や校閲についての話題を発信することも多くなっています。それらのなかから間違えやすい同音異義語や変換ミスしがちな語句などを紹介します。
同音異義語に気をつけよう
日本語は音の数が少ないため同音異義語が多く、使い分けがむずかしいものが多々あります。
『かいふく』
回復:一度悪い状態になったものがもとの状態になること。
快復:病気が治ること。
・「快復」は、病気が治ってもとの状態になることです。
『とくちょう』
特徴:特に目立つ点。
特長:そのものだけにある長所。特にすぐれている点。
・「特長」は、特別すぐれている点の意で、おもによい意味の場合に用いられますが、「特徴」はよい意味にも悪い意味にも用いられます。
『しゅうれん』
修練:精神・技術などをみがくこと。
習練:使い慣れること、練習すること。
・「修練」は技だけではなく、心も技も両方みがくことです。
『はいふ』
配布:多くの人に配って行きわたらせること。
配付:個々に配ってわたすこと。
・会議などで、出席者に資料を配るのが「配付」。ビラなどを配って皆に行きわたらせるのが「配布」。
『いし』
意思:何かをしたいと思う考え。心持ち。
意志:何かをなしとげようとする積極的な心のはたらき。
・両者とも「もっている気持ち・考え」という意味ですが、「意志」の場合、強い決意、積極的な意欲といった意味合いが強くなります。
『そのほか』
そのほかにも気をつけたい同音異義語はたくさんあります。
・「過少」と「過小」
・「脅威」と「驚異」
・「異常」と「異状」
・「改訂」と「改定」
・「制作」と「製作」
・「回答」と「解答」
・「適正」と「適性」
・「清算」と「精算」など。
変換ミスに気をつけよう
同音異義語は変換ミスにもつながります。「公開」を「航海」と変換ミスして「後悔」したなどという笑い話がありますが、変換ミスで意味が通らない表現にしてしまうのは避けなければいけません。
『こうべせいこう』
ラグビーの社会人チームで有名な神戸製綱→「神戸製鋼」○
・何をつくっている会社かを知っていれば間違いに気がつくはずです。「綱」と「鋼」、漢字の偏に注意してください。
『へんそくこうさてん』
変速交差点(複雑に道路が交わる地点)→「変則交差点」○
・この場合は、道路が十字ではなく不規則に交わっている交差点ということで「変則」です。
『きゅうぞうちーむ』
試合に急増チームでのぞむ→「急造チーム」○
・チームの数が増えたのではなく、急に召集された選手で急いでつくられたチームという意味なので「急造」です。
『いちどうに集める』
一同に集める→「一堂に集める」○
・「一同」その場にいる人々全部のことで、「人」です。「一堂」は一つの建物や場所のことです。この場合は一箇所に集めるということなので、「一堂」です。
『せんざいいちぐう』
千載一隅のチャンス→「千載一遇」○
・「せんざいいちぐう」と一気に入力すれば正しく変換されますが、途中で区切ったりすると変換ミスになることがあるので気をつけましょう。
どっちが正しい
同音異義語の使い方はむずかしく、ライティングの途中で悩んでしまうことも多くあります。次のような場合はどう表現したらいいでしょうか。
『先方に電話をかける』
a かける b 架ける c 掛ける
・「架電」という言葉があるので、「架ける」を使う人が多いようですが、この場合はあえて漢字を使わず「電話をかける」でよいでしょう。
『不安のため弱気になっている人にかつをいれる』
a 喝を入れる b 活を入れる
「喝を入れる」は大声で叱りつけるの意味になります。励まして元気づけるという意味ではbの「活を入れる」です。
『狙いすます』
a 済ます b 澄ます
・正解はbです。「澄ます」は、心を集中させて物事を行うという意味です。
『膝をつきあわせる』
a膝を付き合わせる b 膝を突き合わせる
・膝同士をお付き合いさせるわけではありません。互いの膝が触れ合うほど近くに向き合って座り、じっくり話し合うという意味なので、bが正解です。
『ひなだん』
a ひな壇 b ひな段 c ひな檀
・「檀」は香木の名前、マユミです。祭りなどの儀式を行う階段状の壇なので、aが正解です。
同音異義語の使い方については、考えれば考えるほど混乱してしまいがちです。
ライター初心者にとってはむずかしいかもしれませんが、ライティングを重ねていけば、間違えやすい語句がでてくるとピンとくるようになるでしょう。出版社や新聞社のSNSやブログなどに目を通す習慣をつけるなど、日頃から身の回りの表現の仕方について関心をもつようにしてみてはいかがでしょうか。
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